「私はいつもAIアシスタントにさまざまな業務をサポートしてもらっている」――セールスフォース・ジャパンの小出伸一会長兼社長は、同社主催のイベント「Agentforce World Tour Tokyo 2026」(6月9〜10日開催)の基調講演に登壇してこう話した。
従来のイベント名は「Salesforce World Tour」だったが、2025年にAgentforce World Tourに改称。米SalesforceのAIエージェント基盤「Agentforce」の名を冠する通り、発表内容はAIエージェント一色だ。
Salesforce社内では300以上のAIエージェントが稼働しており、年間で約1億3000万ドル分の商談を創出したという。小出社長も「AIエージェントを日常的に使っている」と強調した。
基調講演の中で、小出社長が「『小出は本当にAIエージェントを使っているのか』と疑問を持つ方もいるだろう。ここに私の業務用スマートフォンを持ってきた」と言い、自身の活用例を急きょデモンストレーションする一幕があった。
小出社長は、コミュニケーションツール「Slack」を介してAIエージェントと対話することが多いという。「AIエージェントは、Slackの会話履歴、商談データ、カレンダーの予定などの全データを読み込んでいる」(小出社長)
デモンストレーションでは、Slack上のエージェント機能「Slackbot」を起動して「エージェンティックエンタープライズ(※人間とAIエージェントが共に働く企業)の実現に向けた成功の鍵を教えてください」と質問した。
すると数秒程度で「POV(Point of View:観点)を提示→同業界の事例を示す→Customer Zero(※自社事例)を見せる→(以下略)」といった回答を生成した。
「自社の企業内データを読み込んだ上で、構造化・非構造化データを統合して私のアシスタントとしてアドバイスしてくれる。本来なら経営企画やマーケティングのスタッフが数時間かけていた作業を、数秒で終わらせる。その間、私やスタッフは他の業務に集中できる」(小出社長)
小出社長が「AIエージェントをよく使う」と語ったのが、商談や懇親パーティーの場面だという。
「懇親パーティーでは、隣に誰が座るか事前に分からない。ある時は銀行の頭取と、産業界の企業の社長だった。私は机の下で(スマートフォンを取り出して)、AIエージェントに『銀行とどのような商談を進めているか』『自社の誰がいつ頭取に会ったのか』と確認した」(小出社長)
AIエージェントは「この商談の話題を出すとよい。頭取にこのような話が伝わっているはずだ」とサポートしたという。小出社長は、AIを生かせば「営業活動も働き方も変わる」と述べた。
小出社長が提唱したエージェンティックエンタープライズは、Salesforceが提供・提携するサービスを統合したシステムで実現できるという。米OpenAIや米GoogleなどのAIモデルを土台にして、AgentforceやSlack、データ分析ツール「Tableau」、マーケティング製品を合わせた「Salesforce Customer 360」などをシームレスに接続する構想だ。
顧客情報や業務データをつなぎ、AIエージェントを業務プロセスに組み込むことで「営業支援の高度化」「カスタマーサポートの円滑化」などに役立つという。
顧客がエージェント構築のための複雑な作業を省略できるよう、6000以上のエージェント機能を事前に用意。Slackや、AIエージェントをカスタマイズできる「Agentforce Builder」で提供している。
6月8日には、NTTデータや富士通など9社が顧客の成果創出を支援する「Forward Deployed Engineering(FDE)Partner Network」もスタートした。
小出社長は「皆さまのエージェンティックエンタープライズ化を支援する」と結んだ。Agentforceが、企業のAIエージェント活用を進展させる推進剤になるか。
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