友安社長 今の話、とても共感します。私も最近「自分は何のために仕事をしているのか」と自分自身に問い続けています。
会社である以上、利益を出すことは使命ですし、お金を稼ぐことが最上位の正解かもしれません。でも、もしそれだけが目的なら、ものづくりなんて効率が悪くてやっていられないはずです。
友安製作所の祖業はネジの製造ですが、一時期ものづくりを離れ、EC事業などの「売る力」に特化したビジネスで利益を上げていました。しかし、7年前から再び家具製作などで製造業に回帰しました。なぜかと言えば、ものづくりには経済合理性だけでは語れない「倫理」があるからです。
人々が物を見て「かわいい」「便利だ」などと感じる豊かさは、ものづくりの力でできています。それがなくなってしまったら、倫理的にどうなのか。経済的な正しさだけでなく、技術や皆の生活を守りたいという「思い」を持ち続けないと、経営はやっていけません。
現在、友安製作所では6つの事業を軸に多角的な経営をしていますが、私自身がアイデアマンなわけではありません。アイデアを持つスタッフと出会って「こんなことできるんだ!」と楽しんでいたら、また新しいアイデアを持つ人に出会って、この繰り返しです。
この楽しさを、私はもっと多くの人に体験してもらいたい。だから、私にとってのB面は「製造業って楽しいじゃん」ってことに帰結するかもしれません。
宇田川教授 本来は楽しいはずのものづくりが、なぜ楽しくなくなってしまうのか。私が支援するスタートアップ企業でも、KPI管理や細かな分業体制により行き詰まるケースが多々あります。短期的には成果が出ても、誰も考えなくなり、成長が頭打ちになった時に、二の矢を打てる人がいなくなってしまうんです。
小林社長 そこには「ものづくり」に対する誤解があると思います。ものづくりの本質とは「自分のアイデアを形にすること」だと私は考えています。しかし、製造業の現場で過度なコスト意識や効率化を求められると「余計なことはするな」と判断する機会を奪われ、自分のアイデアを形にできなくなる。これが、製造業がつまらなくなる鉄板のパターンです。
友安社長 なるほど、とても腑(ふ)に落ちました。だからこそ、私はものづくり企業が「売る力」を持つと最強だと考えます。自分たちで売ることができれば、自分たちが本当に作りたいものを作れる。うちの会社では、溶接工が自分でデザインしたプロダクトを販売しています。彼らは今、自分のプロダクトが世の中に認められ、売り上げという数字になることを主体的に楽しんでいます。
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