リユース市場への参入企業が増える中、バーニーズ ジャパンの差別化要素は、アパレル企業ならではの「高い目利き力」にある。シャネルやエルメスといった定番ブランドだけでなく、時代背景やデザインの文脈まで踏まえて商品を選定できる点は、長年ファッションビジネスに携わってきた同社ならではの強みだ。
売り場は、米ニューヨーク・チェルシー地区のヴィンテージショップをイメージして構成。トレンドアイテムと、ブランドやデザイナーの過去のコレクションで発表された特定のアイテムである「アーカイブピース」を組み合わせながら、ブランドの歴史や時代背景も含めて提案することで、商品販売にとどまらない体験価値を提供している。また、商品の入れ替え頻度を高めることによって、来店のたびに新たな発見がある売場づくりを目指しているという。
ルオ氏は「中古品が新品販売を侵食する(カニバリゼーション)ということは全くありません。性質が全く違うからです」と言い切る。
「新品は今シーズンの最新トレンドを楽しむタイムリーな商品。一方でヴィンテージは希少性や、そのアイテムの背景にある歴史など、ストーリーを楽しむ商品です。例えば現在は、2010年代のフィービー・フィロがデザイナーを務めていた時代のセリーヌなど、素材が極めて上質だったアーカイブが再評価されています。SDGsの観点から考えると、現代ではもう作れないリアルファーのアイテムもあります。その時代、その価格でしか作れなかった価値をお客さまに伝えることは、アパレル発の私たちにしかできません」
実際には、新品を目的に来店した顧客がヴィンテージ商品に興味を持つケースも少なくないという。新旧の商品を組み合わせたスタイリング提案は、購買点数や客単価の向上にもつながっており、両カテゴリーの相乗効果を生み出している。
「Tシャツ1枚2万円のものから、10万円のドレス、30万円のジャケットまで、幅広い価格帯の選択肢をミックスして提案できます。これにより、お客さまが『もう1点、ついでに買おう』となるUPT(一人当たりの平均購買点数)の上昇が数字として明確に表れています」(ルオ氏)
ユーズド商品の真贋(しんがん)を見極める際、商品の属性によって査定の方法は異なる。AIを活用した画像判定から、高額商品の専門鑑定まで、カテゴリーごとに適切な査定体制を整えているという。アパレル、靴、時計など、それぞれの専門分野の査定士とも連携する。
また、市場動向分析にもAIを活用し、ブランドや商品の人気変動を踏まえた価格設定や買い取り価格の最適化を進めているという。
こうした真贋判定や商品情報管理の重要性が高まる中、ファッション・高級品業界では「デジタル製品パスポート」(DPP)が注目されている。DPPは製品情報をライフサイクル全体で管理する仕組みで、製品に付与されたコードを読み取ると、正規品の証明や素材・仕様などの詳細情報を参照できる。中古品取引の信頼性向上や循環型経済の促進につながる技術として期待を集めるものの、認知度はまだまだ低い。中古市場がさらに拡大する中で、こうしたデジタル技術はリユース事業を支える重要な基盤になりそうだ。
同社は会員向けの予約制買い取りサービスも開始した。顧客にとって使わなくなった商品を、次世代へつなぐ機会となり、同社にとっては独自の商品調達ルートとして機能する。販売で終わる関係ではなく、購入から買い取りまでを含めた継続的な顧客接点の構築を目指す。
同社が見据えるのが、2030年のニューヨーク再出店だ。その挑戦を視野に入れ、日本の品質の高さを示す「JAPANESE VINTAGE QUALITY」という価値を、世界に発信しながら国内で事業モデルを磨き、海外展開につなげる考えだ。ルオ氏は「JAPANESE VINTAGE QUALITYを世界に広げるグローバル戦略を推進します。Made in JapanからFrom Japanです」と意気込む。
同時に、新規デザイナーの発掘・育成にも注力する。新品で未来の創造性を支え、ヴィンテージで過去の価値を再編集する。この両輪によって、バーニーズ ジャパンならではの商品提案力の強化を目指す。
新品と中古の二刀流。既存顧客と次世代顧客をつなぐ二世代戦略。そして循環型ビジネスの構築。複数の経営課題を一つの事業で解決しようとする取り組みは、価格競争が激化する時代における小売業の新たな方向性を示している。
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