岡山店では約2週間でツールの利用が定着したという。特別な研修を行ったわけではない。
藤本氏は「先週うちの店でどのTシャツが一番売れたの?」などと、ツールを見ればすぐ分かる質問をあえてスタッフに投げかけた。もしスタッフがツールを見ていなければ、その場で「一緒に画面を確認してみよう」といったやり取りを積み重ねたという。
導入時の反発もほとんどなかったという。紙やPCが中心だった確認作業がタブレットで行えるようになり、むしろタブレットに使い慣れた若手のスタッフらが積極的に操作する様子が見られた。
現場からは「売り場に出る時間が増えた」「振り返り作業の大部分が終わる」といった声が上がったという。
ツール導入によって、店舗内の会話にも変化が生まれたという。
従来は「売れた」「売れなかった」といった感覚的な情報共有になりがちだったが、現在は「この商品が何点売れた」「比較店舗ではどの程度売れている」といった数値ベースの会話が増えたという。
また、各部署における週次の業務サイクルも明確になった。週の前半で分析と課題出しを進め、中盤で改善施策を実施。週の後半に進ちょくを確認しながら調整する――という流れが定着した。
高木氏は今後、こうした成功事例を全社へ広げていく考えを示した。
現時点では店舗によってツールの活用頻度にばらつきがあるため、実績やノウハウを共有しながら利用を広げていくという。将来的には、発注や仕入れ、店舗間の在庫移動などにもデータ活用の範囲を広げたい考えだ。
データ活用というと、分析できる専門人材の育成に目が向いてしまいがちだが、今回の事例からは、分析そのものではなく「現場がすぐ行動できる状態」をつくるといった選択肢が見えてくる。
人手不足が続くなか、店舗運営の効率化と接客品質の向上を両立するうえで、データを現場の日常業務にどう組み込むか。その実践例の一つとしてヒントになりそうだ。
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