では、職場は音ハラにどう向き合えばよいのか。村嵜氏は、個人への注意喚起よりも環境の調整に比重を置くべきだと考える。
音ハラは法的に規制されておらず、企業が単体で処分するのは難しい。そのため、個人への注意だけでは限界がある。注意もお願いレベルにとどまり、繰り返し注意すると、逆に注意した側がパワハラだと受け取られかねない。
その点、職場環境の調整は企業にとって取り組みやすい。フリーアドレスやイヤフォンの容認で働き方の自由度を高めておけば、トラブルが起きても、各自が工夫して対応しやすくなる。明らかな嫌がらせ目的の騒音は別として、企業が負うリスクも軽くなる。
静音設計の文具やキーボード、サウンドマスキングなど、対策をうたう商品も増えている。村嵜氏はこうした傾向を評価しつつ、それだけでは不十分だと指摘する。商品による対策が及ぶのは、導入した人や場所に限られるからだ。
「自腹で対策する人としない人がいれば、気をつける側に不満がたまる。会社が支給したり、経費での購入を認めたりした上で、商品による対策と互いの配慮を組み合わせるのが理想」と語る。
職場の音が問題化した背景には、音そのものよりも働き方や受け止め方の変化がある。音ハラは、変化した職場環境や人間関係が表面化した現象ともいえる。個人の感受性を責めるより、職場環境そのものを整えることにこそ、解決の糸口がある。
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