各社の新製品は、いずれも好調に推移している。難聴者の増加予測や補聴器・集音器の潜在層の存在を踏まえると、さらなる市場拡大が予想されるが、何が課題や難しさになるのか。
まずは、「体験」の重要性だ。各社とも音質にこだわっているが、実際に体験しなければ、聞こえの違いは分かりにくい。家電量販店を中心に製品を試せる場所はあるが、騒がしい環境では日常生活での聞こえを体験しづらい。
こうした課題に対し、カシオでは防音室を備えた島村楽器の2店舗にも製品を設置している。今後、島村楽器や自社製品を扱う時計店などでの販売拡大を検討しているそうだ。また、ココエイヤーとER-100は、レンタルサービスでも提供している。
主なターゲットが高齢者であることから、「サポート体制」も求められる。現状、各社とも電話やフォームで問い合わせができる体制を整えているが、困ったときに容易にアクセスできる窓口は欠かせない。
さらに、NTTソノリティの中野氏は「補聴器と集音器の適切な分類について、認知を広げることも重要だ」と考えを示した。
「集音器市場の活性化は、社会全体で『聞こえ』に関する関心が高まることになり、私自身は望ましい環境だと考えています。一方で、集音器が補聴器の領域に踏み込みすぎてしまうと、補聴器の評判を下げることにつながりかねないなと。
本来、この2つはアプローチが明確に異なります。補聴器は、専門的な聴覚トレーニングなどを受けながら使うもので、いわば『パーソナルトレーニングジム』のようなもの。対して、集音器は利用者自身で使いこなす『無人トレーニングジム』と言えます。
補聴器は、専門家の指導のもとで使用し、聞こえの改善を目指す製品、集音器は、聞こえにくさをサポートする製品。こうした違いを正しく伝え、消費者が適切に製品を選べるように配慮することが重要だと考えます」(NTTソノリティ 中野氏)
こうした課題に対し、米国では処方箋や健康診断、専門家によるフィッティングなしで購入できるカテゴリー「OTC補聴器」を2022年に新設。軽度から中等度の難聴者を対象としている。
集音器の性能向上を図る一方で、補聴器との役割をどう線引きするかは、慎重な判断が求められそうだ。
1981年生まれ。フリーランスライター・PRとして、「ビジネストレンド」「国内外のイノベーション」「海外文化」を追う。一般社団法人 日本デジタルライターズ協会会員。エンタメ業界で約10年の勤務後、自由なライフスタイルに憧れ、2016年にOLからフリーライターへ転身。その後、東南アジアへの短期移住や2020年から約2年間の北欧移住(デンマーク・フィンランド)を経験。現地でもイノベーション、文化、教育を取材・執筆する。2022年3月からは東京拠点。
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