レベル3(事後対応経営)への移行に向けて、照井氏が重視したのは、ワークフローの整理と、財務会計から管理会計への変換ルールを整えることだった。特に最初にやるべきこととして挙げたのが、どの単位で数字を管理するのかという「管理の粒度を定める」ことだ。
「管理の粒度をセグメントごとに見たい、プロジェクトごとに見たい――必要な粒度は各社それぞれだと思いますが、自社における管理の粒度を決めることで毎月決まった形のデータ処理ができるようになることが一番大事だと思います」
もう一歩踏み込むと「どう経営分析したいか、経営に対して何を問いたいか」という経営の問いそのものと直結する、地味だが本質的な一歩だと照井氏は説明する。
MIXIはもともと、厳密に予算を管理する文化ではなかったという。ゲーム事業の急成長を経て、次の投資をどうしていくかという経営課題に直面する中で、細かい粒度での予算管理をトップダウンで導入していった。
既存の仕組みを大きく作り変えるというより「新たに導入する」形だったため、現場との摩擦は比較的少なかったという。それでも毎月の現場とのすり合わせは地道に重ね「泥臭くやってきた」と振り返る。
土台が整った段階で、MIXIはレベル4(事前対応経営)に移行するために、AIエージェントを活用して月次業務を自動化する「AIエージェント構想」を、ログラスと共同で推進した。
まず着手したのは、実績集計や経営レポート向けの定性コメント生成といった月次の定型業務の自動化だ。これにより経営レポート作成までの作業を約70%効率化、1人当たり月間約80時間弱の工数削減につながっているという。
具体的なインパクトとして、約100ページにも及ぶ月次の経営報告資料の作成工数が、以前は3人がかりで3〜4日「その時期はそれしかやっていない」というほどの負荷だったが、現在は2人で1日程度で完成できるまでに短縮された。
作業の中心は、AIが生成した内容をレビューする工程へと変わりつつあるという。
照井氏はAI主体の経営管理を3つのステップで捉えている。まず「業務の効率化」、次に「今までやりたかったけれど時間がなくてできなかった業務への拡張」、最後に「これまで存在しなかった新しい価値の創出」だ。現在のMIXIは戦略立案や新規事業・M&Aのシミュレーションなど、2つ目のステップに差し掛かっているという。
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