100件超のプロジェクトを“スプシ管理”→AIで月次業務「70%削減」 MIXI「経営管理」改革の全貌(1/3 ページ)

» 2026年07月22日 07時00分 公開
[濱川太一ITmedia]

 100を超えるプロジェクトをスプレッドシートで管理し、管理対象となるデータは約3万件に。月次の数字の取りまとめだけで手いっぱいだった――この課題に直面したのが、SNS「ミクシィ」やモバイルゲーム「モンスト」を手掛けるIT大手のMIXIだ。

 同社はこれまで、経営に関わる数字進捗の管理をスプレッドシートで運用していた。しかし、どこかで関数が1つ抜け落ちていても全く気付けないこともあり「そのデータがあっているのか分からない」状況だったという。

 これらの課題を解決すべく、同社はAIを活用したスマートな経営管理への転換に取り組んだ。 

 AI活用以前と比較して月次業務を約70%効率化し、1人当たり月間80時間弱の工数削減を実現。2028年3月までに年間900時間の工数削減を目指している。

 MIXIは経営管理の領域でAIをどのように活用し、これらの成果を上げたのか。同社FP&Aインテリジェンス部長の照井英人氏が語った。

photo01 MIXI FP&Aインテリジェンス部 部長 照井英人氏(提供:ログラス)

本記事は、クラウド経営管理システムを手掛けるログラス(東京都港区)主催イベント「経営企画サミット2026」(7月2日開催)のセッション「効率化の先に何がある? MIXI社が語る、経営管理を「高度化」させるロードマップとは」をもとに構成したもの。


3万件のデータをスプシ管理 「合っているか分からない」

 経営管理とは、企業や組織が目標を達成するために必要な活動を計画し、実行して監視する一連のプロセスを指す。ここには、リソースの効率的な活用、戦略の立案、業務の調整などが含まれる。 

 「ポイントは、自社の経営管理が今どの段階にあるかを把握することと、次の段階に進むために何をすべきかを知ること、この2点にある」

 セッションのモデレーターを務めたログラス経営戦略本部長の服部潤太朗氏はこう説明する。経営管理業務には成熟度のレベルがあるといい、以下5つの段階を提示する。

【レベル1】見るだけ経営

 予算進捗の把握にとどまり、その要因分析や今後の打ち手の議論がない状態

【レベル2】取りまとめ経営

 部門単位での業務、打ち手の報告が主な状態

【レベル3】事後対応経営

 業績収集プロセスがマクロやシステムで一定程度仕組み化され、分析、考察に時間が割けるようになった状態

【レベル4】事前対応経営

 予算データベースが整備され、業績収集〜分析が容易な状態

【レベル5】アジャイル経営

 社内外の先行指標やトレンドから、環境、業績変化の兆候を察知し、常に臨機応変に意思決定する状態

 服部氏によると、多くの国内企業はレベル2からレベル3あたりに位置し、予算・実績の集計や報告資料の作成に追われ、分析や経営陣・事業部との対話に十分な時間を割けていないのが実態だという。

 AI活用についても「いきなり全体に適用するのは難しい」とし、AIがない状態でも経営管理のオペレーションが正しく機能する体制があってこそ、AIを導入した際の効果が「指数関数的に増えていく」と説明する。

 MIXIも、レベル2(取りまとめ経営)の段階で苦労を重ねていた。同社はスポーツ、ライフスタイル、デジタルエンターテインメント、投資など、幅広い事業を展開しており、同時進行しているプロジェクト数は約100件。予算管理する費用科目は、多いもので約100項目に上る。これらを掛け合わせると常時1万件規模のデータを管理する必要があり、過年度比較を含めると、管理対象は2万〜3万件のデータにまで膨らんでいたと照井氏は説明する。

 これをスプレッドシートで運用していたため、どこかで関数が1つ抜け落ちたとしても、全く気付けないこともあったという。

 「そのデータが合っているのか分からない、どこかでデータが止まってしまう――このような状態に陥った際、それらを一つずつ解決するのに苦労しました」

 財務会計の締めから経営へのレポートまで1〜2週間を要する。この間、少人数のチームが朝から夜まで手作業に追われる、といった状態が続いていたという。

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