――エージェントを管理するマネジャーは、どんな点に気を付けるべきでしょうか? これまで試行錯誤されてきた中で、勘所のようなものはありましたか。
エージェントはあくまでシステムですので、その特徴をまず把握することが必要です。気を付ける点は「人とは違う」と認識することではないでしょうか。例えば、エージェントにとって読みやすいデータの形式と、人間にとって見やすいダッシュボードとでは、根本的な仕組みが異なります。
ダッシュボードの使い方をそのままエージェントに教えても、実際にはデータベースから直接データを取得させる方がエージェントにとっては扱いやすいようなケースが起こります。ですので、何を教えるべきかというタクティクス(具体的な手法)自体は、根本的に異なると思います。
一方で、パターンを見つけ、それに合わせて改善していく点は、人とエージェントに共通する部分があると思います。人であれ機械であれ「こういうやり方をすると、こういう傾向が出やすい」ことを認知し、それに合わせて教育や改善を重ねていく考え方は共通しています。両方をできるようになれば、人とエージェントの両方を管理する上で「いいとこ取り」ができると思います。
――貴社はAIエージェントによる顧客対応に注力していますね。それ以前は、問い合わせのどこまでを自動化していて、どこから人が対応していたのでしょうか。
段階を追って発展してきています。現在展開しているエージェントは、テキストだけでなく音声も含めて自然言語で対応する、現時点で最も新しい形です。その前の段階でも自動化はしていましたが、同じようにテキストベースでナレッジ(蓄積された知識情報)をやりとりするものにとどまり、今ほど多くの情報量を扱うものではありませんでした。
さらにその前の段階にさかのぼると、いわゆる「bot」(ボット)と呼ばれていた時代があり、決まった問いかけに対して決まった答えを返すだけで、その後の対応や処理を代行する機能はありませんでした。さらにその前は、フォームに名前を入力すると裏側で一定の処理が動くものの、最終的には人が回答するという形でした。
こうして段階を踏んで発展していく中で、人が対応する範囲が少しずつ自動化され、人が担う仕事の内容自体も、より高度なものへと変わってきています。そういった流れと捉えていただくとよいと思います。
――AIによる対応の内容が適切かどうかを判断する場面では、経験の浅い若手のメンバーがマネジャーとして評価する場面もあるかと思います。そうした教育や評価の面ではどのように対応しているのでしょうか。
例えばメール対応であれば、エージェントが作成した文面が適切かどうかを判断する力は、エージェントの管理以前に、インサイドセールスという役割そのものに求められるものです。まずはその教育が土台になります。人が対応する場合とエージェントが対応する場合とで、評価すべき内容自体は変わらないという前提で、エージェントの対応が正しいかどうかを見ていくことになります。
実際には、現場の担当者が全てを評価して直接AIに反映させるような運用はしていません。まずマネジャーが評価内容を確認し、自社実践(カスタマーゼロ)を推進する私のチームへフィードバックします。そこからグローバル開発チームと連携して精査を重ねた上で、AIの精度向上につなげる二重のチェック体制を敷いています。
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