前者の場合、側近が体を張って再考を促すことが一般的だが、「組織外からの圧力」を利用することも多い。そのリーダーが逆らいにくい人物に説得してもらう。後者のようにリーダーの交代を目指す場合、マスコミにスキャンダルや内部情報をリークし、批判的な報道を促すという過激な手段を選ぶ人もいる。
企業や団体の危機管理に20年弱携わる中で驚いたのは、社長や会長というトップの側近から、このような相談が少なくないということだ。
「なんとかして社長に考えを変えてもらいたいんですが、どうすればいいでしょうか?」
これは読者の皆さんもなんとなく分かると思うが、組織内にいると、社長や会長の判断に異論を唱えることは難しい。雇われている身であって、給料を得て家族を養っているという事情もあるため、「このままでは問題になる」というような経営判断であっても、「御意」と黙って従うことが、組織人として求められることもある。しかし、リーダーの判断ミスのせいで組織自体が崩壊してしまったら元も子もない。
そこで組織の未来を案じる幹部が、筆者のような「組織外の人間」に相談したり、メディアやジャーナリストに内部情報をリークして、リーダーの経営判断を軌道修正させようとする。
そのため、大きな企業不祥事が発覚する前には内部告発が増え、メディアやジャーナリストが「疑惑」を追及する報道が増える。
これはニデックの事例が分かりやすい。巨額の会計不正が明らかになる前から、ジャーナリストの井上久男氏や、『週刊ダイヤモンド』が会計を巡る「疑惑」を報じていた。
当時、絶対的な権力を持っていた永守重信CEOのやり方に疑問を感じながらも、本人に直接、方針の見直しを求めることができない人々が、メディアやジャーナリストに内部情報をリークしていたと考えられる。コンコルド効果によって、不正会計を止めるどころか消極的に関わっていた人々が、自力では事態を変えられないため、「組織外の人間」の協力を得て、不正を生む組織体質の転換を目指していたのである。
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