SNSでは、一つのミスや矛盾が見つかると、膨大な数の人たちが「粗探し」に乗り出し、新たな燃料が次々と投下される。そのあたりは中国も変わらない。
青柑プーアル茶のラベルに浮世絵風の鶴が描かれていたことや、紅茶のラベルに江戸時代の鞍(くら)を付けた馬が描かれていたこと、玄米茶に鯉のぼりの柄が用いられていたことなどが、相次いで炎上した。
さらに、西柚ジャスミン茶に至っては、パッケージに描かれたレモンが靖国神社の菊花紋章に酷似しているのではないか、などの「考察」が始まり、収拾がつかなくなった。しまいには、農夫山泉の安定株主に日本のオリックス系投資会社が入っていることまで「親日」だとしてやり玉に挙げられた。
国は違えど、この「農夫山泉」のケースは企業危機管理において非常に重要な示唆を与えている。それは、「愛国心を刺激するマーケティングは諸刃の剣」だということだ。
自国を誇りに思ったり、自国を世界一素晴らしい国だと思ったりする感情は、どこの国でも見られる普遍的なものだ。そうした愛国心を企業の販促活動に利用することも珍しくない。この商品を買うことが自国のためになる、という売り方をすることも一般的だ。
しかし、愛国心を原動力にするがゆえ、もし説明に齟齬(そご)があれば、それがすさまじい勢いで「逆回転」する。「農夫山泉」のように「実は愛国とは正反対の国賊企業ではないか」と疑いの目を向けられて叩かれてしまうのである。
「中国製は一切扱いません」と強く打ち出すことも、それをチラシやWebサイトから何の説明もなく取り下げることも、こうしたリスクを自ら高めてしまう恐れがある。
ロシアや北朝鮮はさておき、中国への依存度が高い日本において、「一切取り扱わない」という方針を貫くのはかなり難しいからだ。
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