プルデンシャル生命は、社長の引責辞任、報酬体系の見直し、長期の自粛という、相応の対応を取ってきた。しかし、それでもなお被害の広がりが止まらない。金融庁が求める「3線管理態勢」、つまり営業現場、管理部門、内部監査という3つの防衛線を機能させることが求められているが、それだけで十分なのだろうか。
ここで「組織風土」と「組織文化」という2つの言葉の違いを整理したい。
組織風土とは、職場の人間関係や空気感を指し、長年の歴史から自然に形づくられるものだ。一方で組織文化とは、企業理念や仕事に対する共通の判断基準を指し、経営層が方針や制度を通じて“意図的”に作ることができるものだ。
同社は不祥事の背景として「営業諸制度」「経営管理体制」「組織風土」の3つの側面に構造的な問題があったと自認している。
なかでも本質的な病理は、高業績者をひたすら称賛する「スタープレーヤー主義」が、営業現場の「密室化」を容認してしまった点にある。顧客と対峙する営業社員の業務を「最も尊い聖域」として扱うあまり、営業管理職や本社のけん制部門が、現場への介入や不審な行動への干渉を意識的・無意識的に手控えてしまったのだ。
なぜ、これほど長期(30年以上)にわたって不正が繰り返され、防衛線が全て機能不全に陥ったのか。背景には、個人のモラルの問題や一時的な風土の乱れがあるだろう。しかし、それ以上に、歪んだ営業のあり方や不正を見過ごす姿勢そのものが、「文化」として根付いてしまっていた可能性がある。
文化として一度根付いたものは、目に見えないからこそ修正が極めて難しい。制度という形だけを整えたところで、その奥にある「スターを特別扱いする」「現場に口出ししない」という価値観そのものが変わらなければ、自粛期間が明けた後に再び同じことが繰り返されるだろう。
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