「何度も調べ直し」「毎回同じことで悩む」を解消 ChatGPTで“自分専用”のマニュアルを作る方法その悩み、生成AIが解決

» 2026年09月02日 06時00分 公開
[酒井麻里子ITmedia]

連載:その悩み、生成AIが解決

アイデアが浮かばない、こんな無駄な作業なくしたい――。ビジネスパーソンを悩ませる日々のさまざまな困りごと、ChatGPTに聞いてみませんか? ITジャーナリストの酒井麻里子氏がプロンプトの書き方を伝授します。

Q.日頃の業務のなかで、毎回同じことで迷ったり、過去のやり方を参照したりして時間を取られています。遠回りをなくすためにAIでできることはありますか?

 繰り返し対応している業務にもかかわらず、細かいところで迷いが生じ、何度も同じことで迷ったり、過去のやり方を何度も調べ直したり……。読者の皆さんも、そんな状況に陥ったことはないだろうか。

 仕事の進め方を自分の頭の中だけに置いていると、そういった「遠回り」が起こりがちだ。

繰り返し対応している業務にもかかわらず、細かいところで迷いが生じ、何度も同じことで迷ったり、過去のやり方を何度も調べ直したり…….。そんなお悩みを解消する、AI活用法は?(写真はイメージ、ゲッティイメージズより)

 AIに情報を整理してもらい、業務の流れをマニュアル化すれば、この遠回りを減らすことができる。今回は、ChatGPTを使い、自分専用の業務マニュアルを作る手順を紹介しよう。

著者プロフィール:酒井麻里子(さかい・まりこ)

ITジャーナリスト/ライター。生成AIやXR、メタバースなどの新しいテクノロジーを中心に取材。その他、技術解説やスマホ・ガジェットなどのレビューも。著書に『趣味のChatGPT』(理工図書)、『先読み!IT×ビジネス講座ChatGPT』(共著・インプレス)など。Yahoo!ニュース公式コメンテーター。株式会社ウレルブン代表。XRと最新テクノロジーのWEBマガジン「TechComm-R」運営。


仕事の内容をAIに伝える便利な方法

 まずは普段自分がやっている仕事の流れを、思いつくままに書き出そう。この時点では、きれいに整える必要はない。順番通りでなくても、同じことが重複していても問題ない。

 改めて書こうとすると手が止まってしまうという場合は、音声入力を活用するのも一つの方法だ。その仕事をしているときのことを思い返し、実況中継するようなイメージで話していくとよい。

 ただし、自分で洗い出したものだけでは情報が足りないこともある。そこで、AIを使って不足しているところを見つけ、補足のための質問をしてもらおう。

実際のプロンプトは?

プロンプト

法人向け研修事業についての、見積もり依頼対応のマニュアルを作りたいと思っています。

私が普段やっていることを思いつくまま書き出したものと、関連資料を添付します。まずは、これらを読んだうえで、マニュアルを作るために足りない情報を質問してください。まだマニュアルは作らないでください。

  • 質問は重要度の高いものから5問程度に絞ってください
  • 手順そのものより、判断基準(どういう場合にどう決めるか)が不明な点を優先してください
  • 資料の中に、私の説明と食い違っている箇所があれば、それも指摘してください

(メモや資料を添付する)

 次に、不足している情報についてAIから質問が返ってくるので、それに答えていく。自分で仕事内容を話したり資料をまとめたりするだけだと、どうしても抜け漏れが生じる。実際に業務を進めているときには忘れずにやっていることでも、後から振り返ると頭から抜けてしまうことも多いためだ。

 最初にこのプロセスを挟むことで、自分では気付けなかった手順や判断基準まで拾い上げられる。

AIからの質問

メモと添付の「過去の見積もり例」「研修料金表」を突き合わせました。現時点では、明確な矛盾というよりも、実際の見積金額を左右する判断基準がまだ言語化されていない箇所がいくつかあります。過去例でも、教材変更の程度によって追加料金0円/5万円と扱いが分かれています。

特に重要そうなものから、次の5点を教えてください。

1.教材・研修内容の変更は、どこまでを「軽微な修正=追加料金なし」と判断していますか?

例えば「事例や会社名の差し替え」「一部の演習変更」「章の追加・削除」など、判断するときに見ているポイントがあれば教えてください。また、追加料金にする場合、料金表の「オリジナル教材作成 3万円〜」を、3万円・5万円などにどう振り分けていますか?

過去例では、B社は「自社事例への変更」で0円、C社は「約半分を独自内容に変更」で5万円となっています。

2.「急ぎ」の案件について、通常料金・追加料金・対応不可をどう判断していますか?

料金表では「実施7日前以降の依頼は原則要相談」となっていますが、過去例のD社は依頼から6日後の実施でも、講師の予定を確認したうえで通常料金になっています。

例えば「講師が空いていれば通常料金」「教材修正が必要なら追加」「○日前なら原則追加料金」のような基準はありますか?

(後略)

洗い出した情報からマニュアルとカスタムGPTを作る

 必要な情報が出そろったら、AIにマニュアルとしてまとめてもらう。ここでのポイントは、単に手順を説明するだけでなく、洗い出した判断基準もしっかりマニュアルに盛り込まれるようにすることだ。

プロンプト

ここまでの内容を踏まえて、業務マニュアルとしてまとめてください。

  • 手順をまとめるだけでなく、判断基準も具体的に記載してください。
  • 私の説明から読み取れない部分は、推測で補わずに「要確認」と記載してください。

 推測で勝手に情報を補わないように指示することも重要だ。手順にない情報が“それらしく”補足され、整ったマニュアルとして出力されると、本来は確認が必要な箇所がどこなのか見分けがつかなくなってしまう。まずは「要確認」状態で出力させ、そこを追加指示で埋めていくようにする。

AIからの回答(筆者によるスクリーンショット)

 ここまでのプロセスで、業務の手順が「マニュアル」として可視化された。これだけでも、迷いはかなり減らせるはずだ。

 さらに、この手順の中から自動化できる箇所を見つけ、カスタム指示まで作っておけば、より効率化できる。例えばChatGPTなら、カスタムGPTやプロジェクト機能を使う想定だ。

プロンプト

このマニュアルの手順のなかに、カスタムGPTもしくはプロジェクトで自動化できる作業はありますか?

ある場合は、対象となる作業とカスタム指示の文面を具体的に示してください。

 出力されたカスタム指示は、そのままカスタムGPTの「指示」欄などに貼り付けて使える。マニュアルを作る過程で自分の判断基準を言語化しているので、一般的な指示文よりも自分の仕事に沿った動きをしてくれるのが強みだ。

 マニュアルがなくてもこなせている仕事の場合、改めて手順を書き出す機会はあまりないだろう。しかし、そういった仕事ほど、細かいところで判断に迷ったり、面倒で後回しにしてしまったりしがちだ。自分のいつもの手順に特化したマニュアルがあれば、そういった迷いや取り掛かるまでの心理的なハードルも小さくできる。

 当たり前にやっていることだからこそ、一度言葉にしてみることに意義がある。まずは「繰り返しやっているのに、毎回どこかで迷っている」仕事を一つ選び、その流れをAIに話すところから始めてみてほしい。

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