ここで飲食店にとっての望みの綱というべき存在が「コメ価格」だろう。
JA全農にいがたは8月18日、2026年産のコシヒカリについて、農家に支払う仮の買い取り価格(概算金)を玄米60キログラム当たり1万8500円と決めた。前年比で38%の大幅な引き下げとなる。記録的なコメ余りを背景に、先行して2割安となった鹿児島県などの早期米を上回る下落幅となった。
ローソンは8月24日、コメ価格の下落と今後の仕入れ価格も低下する見通しを理由に、9月29日から主力の手巻おにぎり計20品を10円から11円値下げすると発表した。ファミリーマートも大きなおむすび昆布とツナマヨネーズを320円から298円に下げた。過去4年で5度の値上げを重ねてきたコンビニおにぎりが、値下げに転じたのである。
コンビニおにぎりはテークアウトであり、2027年4月には1%の対象になる。つまりコメ安と減税が二重に効く商品だ。一方、同じ店の店内飲食のご飯ものに効く要因はコメ安だけだ。コンビニやスーパーの惣菜が恩恵を受ける中でどうしても店内飲食のメニューだけが、10%という割高な消費税率を背負い続ける可能性が高い。
食料品の消費税を1%にするという政策は、家計への支援策として設計されている。
平均的な世帯で年約5万8000円という減税は、物価高に苦しむ家計にとって一定の助けにはなるだろうし、そこを疑うつもりはない。給付付き税額控除への「つなぎ」という位置付けも、制度としては筋が通っている。
ただ、外食や小売企業が減税分の全てを「値下げに充てるべき」という世論が形成されるのも危うい。コメなどの局所的な品目が値下がりしているのはもちろんだが、全体としては物価上昇と賃上げがダブルの負担としてのしかかっているからだ。
このような状態で減税幅をそのまま値下げに反映させることは、企業の粗利を削ることになるだろう。そうなれば、企業の賃上げ余力は細り、巡り巡って家計に行き渡るはずの賃金を目減りさせることになりかねない。
減税の効果を見分ける手がかりは、「物価上昇率を抑えられたかどうか」ではないと筆者は考える。むしろ外食をはじめとする内需企業の粗利率と、2028年春闘の賃上げ率のほうに答えが出るのではないだろうか。
食料品の値札は、政策で下げることができる。しかし、賃金は粗利のないところからは生まれてこないのだ。
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