中井: 2024年8月、奈良県内の学校に通う高校生から「左利き用の筆はないんですか」というメールが届きました。実際に話を聞いてみると、苦労している様子が見えてきました。
左利きの人は、どのようにして筆を使っているのか。調べてみると、手をひねったり、紙の角度を変えたりするなど、持ち方や書き方を工夫しているんですよね。こうした使い方を知ることで、「左利きでも使いやすい筆をつくれないか」と考えるようになりました。そこで、「まずはサンプルをつくってみてはどうか」という話になりました。
実際につくってみて、改良を重ねていきました。とはいえ、先ほど申し上げたように、会社としては費用対効果を考えなければいけません。左利き用の筆を開発して、売れるのか、売れないのか。利益を出せるのか、出せないのか。
さまざまなことを議論していく中で、これまでになかった左利き用の筆を開発することには意味があるのではないか。そう考え、開発を本格的に進めることにしました。
土肥: 完成した筆を見ると、軸が2つありますよね。最初からこのようなアイデアはあったのでしょうか?
中井: 左利きの人には、書き始めや書き終わりの角度が定まりにくく、手で隠れて筆先が見えづらいといった問題があるんですよね。ということもあって、筆の角度を工夫すれば、こうした不便を解消できるのではないかと考えました。
最初の試作品では、文房具の「目玉クリップ」を使いました。目玉クリップを2つつなげて、筆に角度をつけました。左利きの人にとって、どの角度が書きやすいのか。実際に使ってもらって、最適な角度を探っていきました。
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