ツインバードは、新潟のメッキ加工業から出発し、ギフト用品や小型家電へと事業を広げてきた企業です。ジャパネットホールディングスの買収提案でも注目されましたが、ツインバードの反対表明を経て、提案は取り下げられています。
くつ乾燥機など、暮らしの細かな困りごとに応える商品を持ち、ギフトやカタログでも販売してきました。「こういうものが欲しかった」「この値段なら使ってみたい」という需要をつかむ会社だったといえます。
強みは、その需要を素早く製品化する仕組みです。2020年の統合報告書では、企画・開発スタッフは約70人。社内で企画から試作まで行い、数千台の小ロットにも対応できるとしています。燕三条の職人や技術のネットワークを使い、大手が取り組みにくい小さな市場を開拓する機動力があるといえます。
国内の開発・試作能力と、海外を含む製造ネットワークを組み合わせ、手頃な商品を届ける。私が同社の競争力の源泉だと考えるのは、この企画開発の速さと柔軟性です。ただ、低単価の商品を多く手掛けても、一品当たりの利益が薄ければ、仕事量の割に利益は増えません。コロナ前の2019年度は約122億円を売り上げながら、営業利益は約1億8000万円でした。
そこに、高価格でも選ばれる商品の成功体験が加わりました。カフェ・バッハ(自家焙煎珈琲店)の田口護氏が監修した全自動コーヒーメーカーです。2021年の公式資料では、スティック型掃除機(TC-5106)が4400円なのに対し、3杯用コーヒーメーカー(CM-D457B)は4万3070円。
手頃な家電を届けてきた会社が、専門家の技を再現する価値で、数万円を払ってもらえたのです。2018年発売の製品が巣ごもり需要を捉え、公表グラフからは2022年2月期の年間出荷台数は約3万台と読み取れます。
また、同年度の全社増収を牽引したのは、ワクチン運搬庫を含むFPSC事業で、2020年度のセグメント利益率は33%でした。それでも、このコーヒーメーカーの成功体験が高付加価値路線の可能性を経営陣に感じさせたのではないでしょうか。
同社は「匠プレミアム」と「感動シンプル」を展開し、高付加価値商品を増やしました。問題は、高付加価値化に合わせて、開発の進め方や生産体制、営業との連携を十分に見直せていたかという点です。
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