ツインバードとバルミューダ、なぜ伸び悩む? 「高くても売れる」家電の難しさ(5/7 ページ)

» 2026年09月18日 07時00分 公開
[草刈貴弘ITmedia]

回復に向けた動きを利益に結び付けられるか

 バルミューダは海外展開にも力を入れています。2025年には米国で商品展開を拡充し、ニューヨークにブランドショップを開きました。同年の北米売上高は、前年比18.8%増の7億1600万円でした。年平均のドル円相場は前年より円高であり、為替動向を踏まえても、北米で売り上げを伸ばしたと考えられます。

 そして2026年、新たな挑戦として投入したのが、LoveFromと共同開発した「Sailing Lantern」(※1)です。国内価格は55万円、世界で1000台限定。大量に販売する商品というより、これまでとは異なる顧客にバルミューダの価値を伝え、ブランドを広げる役割を持つ商品でしょう。「The Clock」(5万9400円〜※2)も含め、従来の商品カテゴリーとは異なる提案を始めています。

(※1)「Sailing Lantern」元Appleのジョナサン・アイブ氏と共同開発した、航海用ランプに着想を得た世界限定1000台の超高級LEDランタン。宝飾品のような圧倒的な加工精度と高い防水・防塵性能を持つ。

(※2)「The Clock」針を持たず光の動きと上質な環境音で表現するアルミ削り出しのパーソナル時計。スマホを寝室に持ち込まないデジタルデトックス習慣や、集中・リラックス効果を狙っている。

LoveFromと共同開発した「Sailing Lantern」(出典:バルミューダ)

 その成果は少しずつ表れています。2026年1〜6月は、Sailing LanternとThe Clockが寄与し、海外売上高が前年同期を上回り、北米売上高は67.8%増加しました。Sailing Lanternは売上高の約7割を海外が占め、新たな顧客層にも購入されていると会社は説明しています。

 一方で国内売上高は、前年同期比25.5%減少し、全社売上高は同15.8%減の43億6500万円でした。ただ、粗利率は3.5ポイント改善して35.0%となり、営業損失も同3億8400万円から3億1400万円に縮小しています。

(出所)バルミューダ社 有価証券報告書より。マネックス・アセットマネジメント作成

 限定商品は新たな顧客との接点になります。ただ、その顧客が次の商品も選ぶのか、そこで得た認知が他の商品に広がるのかという道筋が必要です。北米や新たな商品で成果が出始めていても、それが会社全体を支える規模になるには時間がかかります。その間に日本など既存市場の売り上げが落ち続ければ、新たな挑戦に使える経営の余裕も失われていきます。

 ツインバードにも変化が見られます。2026年3〜5月は、病院向け小型冷蔵庫や量販店向けPB商品などが寄与し、営業利益7600万円を確保し、黒字に転じました。8月に公表した新中期経営計画では、家庭用冷蔵庫・洗濯機の縮小と、収益性の高い商品や販路への移行を示しています。

 利益が改善した背景には、在庫評価損に関連した原価低減などの要因もあり、第1Qの結果だけで再建が進んだとは判断できません。ただ、商品を広げるだけでなく、何を縮小し、どこで稼ぐかという事業の組み合わせを見直す動きとして重要です。高付加価値商品を育てるにも、その時間と費用を支える収益基盤が必要だからです。

 ツインバードは事業の組み合わせを修正し、バルミューダは、デザインと機能を生かしながら、新しい商品と海外市場を通じて顧客層を広げようとしています。両社のアプローチには違いがありますが、開発から販売までにかかった費用を回収し、次の投資につながる利益へと、商品の評価を変えていかなければならない点は共通しています。

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