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Salesforce好決算が証明した「SaaSは死なない」 画面を手放し裏側を握る生存戦略(4/5 ページ)

» 2026年09月22日 08時00分 公開
[湯川鶴章、エクサウィザーズ AI新聞編集長]
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論点2:インタフェースを手放し、下の層(データ・権限)を握る

 では、なぜこうなったのか。ベニオフ氏の説明は理屈として明快だった。

 AIモデルは、確率的で非決定論的なシステムである。一方、Salesforceの「データ層」「アプリと意味付けの層」「エージェント層」「インタフェース層」という4層は、決定論的なシステムだ。

 この二つを組み合わせた時に、これまでにない価値が出る。誰が何を見てよいかという権限、業務ルール、監査の記録は、確率的に「多分こうだろう」で処理させるわけにいかない。モデルが賢くなるほど、その足場となる正確な業務記録の価値は上がる。

 この理屈を製品にしたのが、決算発表の直前にベニオフ氏とAnthropicのダリオ・アモデイ(Dario Amodei)CEOが、米CNBCで共同発表した「Claudeforce」である。ClaudeのモデルとCoworkのインターフェースに、Salesforceのデータ、アプリ、業務フロー、ガバナンス制御を組み合わせる。

 アモデイCEOは、自社の最高商務責任者が「いま追っている最大の商談を挙げ、それぞれのリスクを説明してくれ」と尋ねるデモを見せたと述べた。データは全てSalesforceで管理されているものを使い、対話はClaudeを通じて行われる。9月の年次イベント「Dreamforce」に合わせて一般提供が始まり、利用には上位エディションへの移行を必要とした。

 半年前に市場を暴落させた「Cowork」が、今度はSalesforceの売り物になった。この転換の意味を、ベニオフ氏はこう定式化している。

 「仕事をするために顧客がSalesforceの画面に来る必要はない」

 Claudeにも、Slackにも、ChatGPTにも、Teamsにも、顧客が働く場所にSalesforceの方から出ていく。「インターフェース(操作画面)としてのソフトウエア」から「あらゆるインタフェースを裏側で動かすソフトウェア」への移行だ。ベニオフ氏はこの基盤を「信頼できるエンタープライズ・ハーネス」と呼ぶ。

 画面を明け渡す代わりに、その裏側のデータと権限と実行の層を握る。SaaSが生き延びる道として、これはかなり具体的な答えだ。

© エクサウィザーズ AI新聞

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