この線引きを考えるうえで、参考になる動きが海外にある。アメリカで起きているブルーカラー職種への注目だ。
デジタル技術やAIの進化によって、ホワイトカラーの一部で「人余り」が起きている。打撃を受けているのは、マーケティング、法務、会計、人事、ITといった分野だ。一方で、需要が高まっているのが技能職である。
象徴的なのが、海外のメディアで報じられた通信大手AT&Tの動きだ。5年間で約380億ドル(約6兆円)を投じ、主に熟練技術者の採用と訓練を進める。
AIに置換されにくい技能職では、熟練者の引退が進み、後継者が育っていないところも多いと考えられる。
同じ潮流は、日本でも確実に起きている。
リクルートワークス研究所が2月に発表した労働市場分析によれば、人手不足が著しい一部のブルーカラー職種では、過去5年間で賃金が大きく伸びている。2024年には自動車整備・修理従事者の平均年収が約480万円(2020年は約407万円)となり、総合事務員の約468万円(同約436万円)を上回っている。
全てではないが、人手不足が深刻な一部のブルーカラー職種では、ホワイトカラーの収入を上回るケースが出ている。帝国データバンクの調査で活躍期待年齢が高かったのが、農・林・水産、運輸・倉庫、サービスといった現場系の業界だったことも偶然ではないだろう。
ここまで見てくると「67.9歳」という数字の意味がわかるはずだ。
ホワイトカラーの仕事が減少していく時代に、本当に代えがきかないのは誰か。長年の経験を体で覚え、現場に立ち続けられるベテラン人材である。しかも、健康であることが大前提だ。
一方で、現場から離れた事務・調整中心のベテランに対しては、AIやデジタルツールの活用を前提としたリスキリングを求めるか、役割の再定義をはっきり提示することも求められてくる。
若手が入ってこないし、中途採用も難しい。だからこそ企業はベテランに頼らざるを得ない。しかし「仕方なく残ってもらう」のと「ぜひ残ってほしい」とでは、本人の意欲がまるで違う。
企業がやるべきは、残ってほしい人材を明確にし、その人たちが働き続けたくなる環境を本気でつくることだ。
書類でよく見る「シヤチハタ不可」、シヤチハタ社長に「実際どう思ってますか?」と聞いたら意外すぎる答えが返ってきた
「あの時気付いていれば……」 モンスター社員を面接で見抜く、たった一つの重要質問
ニトリHDの時価総額半減……「36期成長神話」が崩壊した、これだけの理由
サンリオ株価、まさかの「ほぼ半値」に……なぜ? ジャパンIPに降りかかった災難の正体Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング