「いつでも安い」ベイシアが、なぜさらに安く? 新業態で削ったもの、残したもの(2/5 ページ)

» 2026年09月27日 08時00分 公開
[田窪綾,ITmedia]

なぜ、さらに安いスーパーを出店したのか

 ベイシアは群馬県を中心に1都14県で店舗を展開する小売チェーンだ。食品スーパーだけでなく、衣食住に関する商品を取りそろえる大型スーパーセンターなど、商圏に応じて複数の店舗形態を展開してきた。

 さらに近年、商圏のニーズや立地に合わせて複数の店舗形態を展開する「マルチフォーマット戦略」として新たな業態開発を進めている。例えば、個食や少人数世帯のニーズに対応する小型店「オトナリマート」や、複合型ショッピングセンター「Beisia Town」をオープンし、新鮮で豊富な食品を押し出したスーパー「Foods Park」も拡大。消費者の生活スタイルや利用シーン、立地特性などに応じて店舗の形を変え、それぞれ異なる需要を取り込もうとしている。

 ここに新たに加わったのが、価格重視・まとめ買いを軸とするココトクだ。

 物価上昇が続く中、ベイシアは「より価格を重視したい」「まとめ買いやストック買いをしたい」という需要が高まっていると捉えた。一方、日々の買い物が「必要だから行くもの」となり、本来の楽しさが薄れつつあるのではという課題感もあったという。

 そこで、安さだけでも体験価値だけでもない新業態として開発したのがココトクである。「ワクワクな買い物が、おトクになる場所」をコンセプトとし、「ベイシア」の屋号とは異なるブランドとして立ち上げた。

店内外に大きくコンセプトを打ち出している

 業態を増やすことは、既存店とのカニバリゼーション(共食い)の回避にもつながる。ベイシアではこれまで、新規出店候補地の近くに既存店がある場合、競合することを懸念して出店を見送るケースもあったという。複数の業態があれば、同じ商圏でも異なるニーズを満たせるようになる。

 ココトク1号店としてふかや花園店を選んだのも、この考え方からだという。同店の周辺には複数のベイシア店舗があるが、旧ふかや花園店は他店と比べて来店客の商圏がやや狭かった。そこでディスカウント業態のココトクへ転換し、既存店との役割分担を図るとともに広域からの集客を狙ったのである。

 業態開発においては、開発責任者の安田恵一氏を含む7人が海外のスーパーマーケットチェーンを視察。インフレ下でも成長するディスカウント業態の構造や、低コストで店舗を運営する仕組みを研究したという。

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