ふるさと納税寄付額日本一の泉佐野市、稼いだ“外貨”を何に使った? 「ないなら、作ろう」で起きた変化:地域経済の底力(4/4 ページ)

» 2026年09月30日 08時00分 公開
[伏見学,ITmedia]
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“外貨”で内需を掘り起こす

 ふるさと納税による財源は、新たな事業を生み、地域経済にも良い影響を与えている。

 その一つが、2017年に始まった地域ポイント(地域通貨)の「さのぽ」だ。行政が付与するポイントを「1ポイント=1円」として市内の加盟店で使える仕組みで、加盟店は550店舗を超える。また、人口約10万人の泉佐野市において、カード保有者は14万人以上だ。2025年度のポイント発行額は15億ポイントを突破し、加盟店での年間消費額は55億円に達したという。

 地域通貨は全国で導入されてきたが、定着せずに終わる例も少なくない。成功の秘訣(ひけつ)を千代松市長はこう語る。

 「かなりの額の行政ポイントを発行していることが大きいです。それができるのも、ふるさと納税が好調だからです。言葉が適切かは分かりませんが、職員が稼いできてくれた“外貨”で、地域内の需要を掘り起こすことができています」

泉佐野市の千代松大耕市長(筆者撮影)

 福祉分野では、自治体主導では全国初という「赤ちゃんいのちのバトン」(赤ちゃんポスト)関連事業の実施に踏み切った。寄付を積み上げた福祉基金を活用し、赤ちゃんポストの設置と内密出産の実施に向けた病院の改修工事を進めているほか、病院で受け入れた後の出口として、乳児院の設置も検討している。

 千代松市長が就任した2011年当時、泉佐野市は財政破綻の懸念がある「財政健全化団体」となっていた。「倒産寸前の町で、市民サービスも削るところがないほど削っていました。それが今では、近隣の市町より1歩も2歩も先を行く施策を展開できるようになったのです」と千代松市長は胸を張る。市民から感謝の言葉をかけられることも少なくないという。

 りんくうタウンもまた、かつては摩天楼が立ち並ぶ未来図が描かれながら、その姿には至らなかった場所だ。そこに、よなよなビアライズが新たなにぎわいを加えた。

 「人と人とをつなぐ場所になっていたい。そうした役割で地域の方々に声をかけていただける企業でありたいです」と、ヤッホーブルーイングの谷氏は意気込む。

 「ないなら、作ろう」という泉佐野市の発想は、返礼品を作るだけでなく、企業を呼び込み、まちに新たな人の流れを作り始めている。

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