AI“狂騒の半年”を振り返る Mythos公開、Fable停止、GPT-6登場――翻弄されない“堅実なAI導入”の鍵は:古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(1/3 ページ)

» 2026年10月08日 07時00分 公開
[古田拓也,ITmedia]

筆者プロフィール:古田拓也 株式会社X Capital 1級FP技能士

FP技能士センター正会員。中央大学卒業後、フィンテックスタートアップにて金融商品取引業者の設立や事業会社向けサービス構築を手がけたのち、広告DX会社を創業。サム・アルトマン氏創立のWorld財団における日本コミュニティスペシャリストを経てX Capital株式会社へ参画。


 「Anthropicは、これまでに公開したどのモデルよりも高性能な次世代AIモデルの開発を進めて(中略)いることを認めた」――これは、ITmedia ビジネスオンラインが4月1日に掲載した記事の冒頭だ。

 「Claude Mythos Preview」(クロードミュトス)の公開に始まったこの半年(2026年4〜9月)は、AIを巡る出来事が目まぐるしく続いた。毎月、毎週のように新たなAIモデルが登場し、特に「フロンティアAI」と呼ばれる高性能モデルに注目が集中。米政府の要請に基づくAIの提供停止、次世代モデルの公開など、話題が尽きなかった。

 本稿では、この半年の動きを時系列で整理する。その上で、AI導入の現場で何が変わったのかを見ていく。注目したいのは、大企業が米Amazon Web Services(AWS)や米Microsoft、米Googleのクラウドの上で、自社の統制を保ったままAIエージェントを組み始めた動きである。

photo 4月にClaude Mythos Previewが公開されてからの半年は、AIを巡ってさまざまな出来事があった(出所:Claude Mythosの紹介Webサイト、撮影:編集部)

4月、ミュトス登場 深刻な脆弱性を1万件超も発見

 米Anthropicは4月7日、ソフトウェアの脆弱(ぜいじゃく)性を発見する能力に長けたAIモデル、Claude Mythos Previewを発表した。一般公開はせず、AWSや米Apple、Google、Microsoftなどが参加するセキュリティ対策の枠組み「Project Glasswing」(プロジェクト・グラスウィング)に参加する組織に限って提供した。

 5月22日の中間報告によると、参加組織のITシステムから、深刻度が高い脆弱性が1万件以上見つかった。従来のセキュリティ対策は、脆弱性を迅速に発見するのが難しいという課題があった。しかしClaude Mythos Previewの登場により、セキュリティ対策の制約は「AIによって発見された膨大な数の脆弱性をどれだけ迅速に検証、開示、修正できるか」に変わったとAnthropicは説明している。

photo Anthropicのロゴ(編集部撮影)

日本政府は14機関で対応 「Project YATA-Shield」始動

 日本国内の動きも早かった。5月18日、内閣官房国家安全保障局や国家サイバー統括室、金融庁、デジタル庁など14の府省庁や部局が、Mythos Previewを名指しした上で、サイバーセキュリティ対策の強化策を「Project YATA-Shield」(プロジェクト・ヤタシールド)として取りまとめて公表した。重要インフラ事業者への注意喚起や、ソフトウェア開発時からセキュリティ対策を組み込む「セキュア・バイ・デザイン」の徹底などを盛り込んでいる。

 5月22日には金融庁と日本銀行が連名で、脆弱性が短期間に大量に発見され得るとして、経営層の関与の下での短期的な対応を金融機関などに要請した。

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