玩具販売大手の日本トイザらスが倒産したいま、玩具販売店に生き残る道はあるのか。
玩具市場の伸びをけん引していた分野の一つがトレーディングカード(トレカ)を含むカードゲームだ。2015年度の約961億円から2025年度の約3384億円へと約3.5倍に膨らみ、市場全体の約29%を占める。
背景には、買った後に値段が変わる「資産性」があるのではないか。パックから出たカードは、人気や希少性によって定価を大きく超える値段で取引されることも珍しくない。この「二次流通」は、メーカー希望小売価格(上代)で数える日本玩具協会の統計には表れない。
トレカの人気は、二次流通の数字にも表れている。中古本や中古グッズを扱う「BOOKOFF」を展開するブックオフグループホールディングスでは、ブックオフ事業における直営既存店の売上高の約23%を「トレーディングカード・ホビー」が占め、前期比で約17%伸びた。
フリマアプリを運営するメルカリも流通総額の伸びの理由の一つに「エンタメ・ホビー」の好調を挙げた。海外の利用者が日本の出品を買う越境取引は流通総額の約9%を占める。トレカの越境取引件数では「ポケットモンスター」が首位だった。
メーカーが作り、店が定価で売るまでが一次流通だ。その後に生まれる定価との差額は、売却した個人やリユース企業、取引の場を提供するプラットフォーム運営事業者に分配されていく。
メルカリは、海外の買い手が日本の商品を買う動機の一つに、円安などによる「価格優位性」を挙げる。日本の定価は世界から見れば割安だが、販売店が相場に合わせて値上げするのは難しい。売れる商品でも大きな利益は取りにくい構造にあると考えられる。
かといって、中古の売買には古物営業法に基づく許可が必要だ。また、正規販売店が二次流通に乗り出すのは商慣習的にも難しい。取引先のメーカーにとっては、新品の販売機会を奪われかねないからだ。
トイザらスを引き継ぐドンキも、あくまで一次流通のフィールドで勝負していくことになるだろう。
では、PPIHはどこで勝負するのか。同社は、乳幼児から子ども、ファミリー層まで幅広いトイザらスの顧客基盤が加わることで、新たな顧客層の獲得とLTV(顧客生涯価値)の拡大につながると説明する。店をどう変えるかはまだ示していないが、同社の戦略と重ねると2つの方向が見えてくる。
1つ目は訪日客だ。2026年6月期の免税売上高は過去最高を更新した。日本の定価は海外から見ると割安になるため、訪日客を呼ぶ武器になる。メルカリのレポートでも、ポケモンのトレカだけでなく「鬼滅の刃」グッズといった日本のIP商品は海外の買い手に人気だ。定価で売る一次流通の小売店でも、売り先を広げれば市場拡大の恩恵に十分預かれるだろう。
次にファミリー層である。PPIHは「ドン・キホーテを知ってはいるが、来店していない『消極的忌避層』」を約3000万人と試算し、マーケティングを強化する方針だ。また、1800万人を超える電子マネー「majica」会員の購買データを生かして、一人一人に合わせた販促を進め、新規顧客の獲得と既存顧客の来店頻度向上を図る。
ベビー用品を買いに来た家族が、子どもの成長に合わせて玩具を、やがて日用品や食品までグループの店でそろえるようになれば、節目ごとの買い物で終わっていた客を長い付き合いに変えられる。
定価で1回だけ売って終わる商売ではなく、訪日客の呼び込みや家族の世代交代まで見据えた長い付き合いで稼ぐ商売となることを、PPIHは目指しているようにも思われる。
PPIHの国内実店舗網と訪日客を呼び込む力が、これまでのトイザらスが成し得なかった新しい時代の玩具販売店を形作るのかもしれない。
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