ベイツCEOは、多くの企業が抱える課題を「AIの問題ではなくオペレーティングモデルの問題」と言い切る。オペレーティングモデルとは、業務の進め方や組織、評価の仕組みを含む事業の運営方法を指す。ベイツCEOは「クラウドがIT部門の運営を変えたように、AIエージェントも企業の運営を書き換えます。人間が実行する前提で設計した仕組みにAIを後付けしても、その力は引き出せません」と説く。
見直しを迫られる代表例がKPIだ。コンタクトセンターは長年、1件当たりの平均処理時間(AHT)や、1回の問い合わせで解決できた割合(一次解決率)を重視してきた。ベイツCEOは次のように問いかける。
「AHTや一次解決率はもちろん重要です。しかし、それらは本当に重要な成果を測るための代理指標にすぎないかもしれません。本当に問うべきは、顧客の獲得にいくらかかったのか、その顧客からどれだけの売り上げを生み出したのかです。AIに何を最適化させるのか。そのためには、KPIそのものをビジネスにとって本当に重要な指標に変えていく必要があります」
人材についての考え方も変える必要があるという。ベイツCEOは、企業が人間とAIを分けて管理するのではなく、一つの「ハイブリッド・ワークフォース」として運営するようになると予測する。仕事ごとに、人間、AI、あるいはその組み合わせから最適な担い手を選ぶ発想だ。
スラージ上級副社長は人員配置への影響について「AIが自動化する1件1件の対応が、人間に求められる仕事の量だけでなく、種類まで変える。これからの需要予測は、AIによる自動化の影響まで織り込まなければならないのです」と指摘する。Genesysは、従業員の応対品質をAIで採点する仕組みを、同じ評価基準のままAIエージェントにも適用するという。人間とAIの働きぶりを、一つの物差しで比べられるようにするためだ。
AIエージェントが一つの処理を終えて「成功」と報告しても、顧客の本当の目的が未完了のまま残ることがある。同社のグレン・ネザーカットCTOは「顧客の課題は一回の会話で完結せず、電話を切った後も続く」と説明する。
そこでGenesysは、顧客の意図を読み取り最適ルートへつなぐ「Navigator」、業務システムを直接操作する「AVA」、数日から数週間におよぶ複雑な手続き全体の次の一手を制御する「Orchestrator」という3つの機能を組み合わせ、一回の会話で終わらない長期的課題まで自動で追跡・解決する仕組みを整えた。
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