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相手のAI訴訟で弁護士費用が10倍に? 米国で急増する「本人訴訟」の恐ろしい実態(2/3 ページ)

» 2026年10月23日 07時00分 公開
[湯川鶴章、エクサウィザーズ AI新聞編集長]
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訴えられた側の防衛費は10倍に

 この負担は、訴えられる側にも重くのしかかる。米テック系メディアのFuturismの取材に応じた弁護士によると、従来なら約2000ドルで片付いた紛争が、相手がAIで申し立てを繰り返したために2万ドル(約300万円)を超えたという。5000ドル程度で済むはずの案件が7万ドルを超えた例もある。

 米フロリダ州では、数百ドルの管理組合費の滞納を巡って住民夫婦が起こした本人訴訟が、AIで書面を量産するうちに「管理組合と弁護士が組織ぐるみで住民をだましている」と陰謀論的に主張を拡大させ、泥沼化した。ある弁護士は、以前ならこうした原告も高額な弁護士費用を払えずに途中で諦めていたが、AIの登場によって低コストで訴訟を継続できるようになってしまったと指摘する。

 企業も決して無縁ではない。米国の訴訟データ分析会社Lex Machinaによると、連邦裁判所の雇用訴訟に占める本人訴訟の割合は、2021年の10%未満から、2025年には16%超へと上昇している。

素人の原告に制裁金は通用するか

 AIがもっともらしく捏造した「架空の判例」が裁判所に提出されるトラブルも後を絶たない。そうした事例を集めたデータベースによると、2026年8月末時点で確認された1981件のうち、本人訴訟の当事者によるものが1136件を占め、プロの弁護士による793件を上回っている。AIの出力内容の真偽を確かめずに法廷へ出してしまうリスクは、弁護士よりも一般の素人原告の方がはるかに高い。

 本人訴訟の当事者であっても、司法による処分と無縁でいられるわけではない。根拠のない訴えに対しては制裁金が科されることがあり、濫訴(むやみに訴訟を繰り返す行為)を続ける原告には、新たな訴訟を起こす前に裁判所の事前許可を得るよう命じた例もある。

 しかし、企業側の代理人を務める米法律事務所Davis Wright Tremaineは、原告側に支払い能力がなければ、裁判所が費用の負担命令を下したところで回収できないケースが多いと指摘する。その場合、膨れ上がった巨額の防御費用は、訴えられた側が自腹で泣き寝入りするしかないのが実情だ。

photo AIがもっともらしく捏造した「架空の判例」が裁判所に提出されるトラブルも後を絶たない

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