オスマニ氏は、ループを構成する部品として6つの要素を挙げている。
工場に例えるなら、始業ベル、各作業員の専用作業台、業務マニュアル、資材倉庫への通用口、検品係、そして作業日報だ。
注目すべきは、これらの部品が既製品になりつつあることだ。1年前なら、ループを組みたい開発者は自前のスクリプトを書き、自分で保守し続けるしかなかった。ところが現在では、AnthropicのClaude CodeにもOpenAIのCodexにも、ほぼ同じ部品一式が標準搭載されている。どちらのツールを使っても「ループの形」はほとんど同じであり、道具の収斂(しゅうれん)がこの概念の普及を後押ししている。
ただし、冷静な視点も欠かせない。まずコストだ。ある解説記事の試算では、エージェント1体を自律的に走らせると通常のチャット利用の約4倍、複数エージェント構成では約15倍のトークンを消費するという。スタインバーガー氏自身、月間130万ドル(約2億円)分のトークンを使った時期があると認めている。壊れたツールを5分間に400回呼び続けたループの事故例も報告されている。
さらに本質的な問題は、検証責任が人間に残り続けることだ。オスマニ氏は「無人で走るループは、無人でミスをするループでもある」と警告する。ループが人間の書いていないコードを次々と出荷するほど、システムの実態と人間の理解との間のギャップが膨らみ、ループが勝手に回ってくれる心地よさに身を任せて、自分の頭で考えることをやめてしまう危険があるというのだ。
スタインバーガー氏の投稿への返信の中で、最も支持を集めた指摘の一つも、この点を突いていた。いわく、ループの設計は仕事の半分でしかない。残りの半分は、ループの中に「ノー」と言える何か――テスト、型チェック、本物のエラーなどを組み込むことだ。押し返すもののないループは、AIが自分自身に同意し続けるだけの装置になってしまう。
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