ITmedia ビジネスオンラインが2025年11月に公開した記事で、反響が大きかった記事を編集部が厳選して再掲する。初出は2025年11月28日、文中の記述は掲載当時のまま。
製鉄所のシンボルともいえる高炉。高さは50メートル、内部温度は1800度に達するため、内部の様子を人が目視で確認することはほぼ不可能だ。そんな高炉内部をデジタル技術で可視化し、操業の効率化を図る取り組みを進めているのが、JFEスチールである。
同社の粗鋼生産量は年間約2200万トン(2024年度見込み)で国内2位、世界で約14位の規模を持つ。経済産業省などによる「DX銘柄」に、計9回選出されているDX先進企業である同社の取り組みについて、DX戦略本部 DX企画部長の廣山和敏氏が解説した。
本記事の内容は、ウイングアーク1st(東京都港区)が11月11〜12日に開催した「UpdataNOW25」内で実施されたセミナー「JFEスチールのDXの取り組みとデジタル人材育成」の内容を要約したものです。
JFEスチールのDX戦略は、「積極的データ活用、データドリブンにより競争優位を獲得」することを全体方針とし、
(1)IT構造改革の断行
(2)データ活用レベルの高度化
(3)ITリスク管理の強化
を3つの柱として推進している。
同社はDX推進を加速させるため、2024年に組織改革を実行。統一的な戦略の下で推進を図るため、従来独立していたDX関連部門を統合し、DX戦略本部を新設した。これにより、開発、展開、実装、保全までを一貫してDX戦略本部内で実施できる体制となった。
IT構造改革は2015年ごろから開始し、2021年に本社システムの刷新が完了した。現在、製鉄所のシステム刷新を進行中であり、廣山氏によると「2025年度中に完了見込み」だという。
データ活用レベルの高度化の一つが、製鉄所全体を「インテリジェント製鉄所」にすることだ。高炉は高さ50メートル、直径20メートルの巨大な設備であり、かつ内部温度が1800度に達するため、直接内部を確認することが困難である。「操業は熟練オペレーターの経験と勘に頼っていた。属人化と人為的ミスによるトラブル発生と、それによる数億単位の損害が避けられないという課題があった」(廣山氏)
そこで同社は、CPS(サイバーフィジカルシステム)を活用し、高炉内部で起きている現象を、物理モデル、統計モデル、AIを用いて可視化することに成功。現在、12時間後の高炉内の状況を高い精度で予測できるレベルに達し、JFEグループの全ての高炉に導入している。廣山氏は「高炉内部の状態をリアルタイムで可視化し、操業の高効率化・安定化を実現した」と話す。
「それ、うまくいかないよ」――“ベテランの壁”だった開発者の態度を一変させた、新人の工夫が参考になる
「社内用語」がAI分析を邪魔する……ニトリが“力技”で解決 「赤羽店の寝具の売上高を出して」可能にできたワケ
「ウソだろ」アスクル社長がうなったAI活用 商談準備を2週間→3時間に “担当者のカオス”脱却へ
70代会長も動いた 創業108年みそメーカーがGemini利用率86%を達成した「3つの工夫」
「今変わらなければ」 酒屋カクヤス、背水の陣で挑む業態転換 鍵を握る「30年来の基幹システム」刷新の行方Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング