ソニーを飛び出して会社設立 SREホールディングス西山和良社長に聞く不動産テックの展望:経験に頼るビジネスを効率化(4/5 ページ)
手続きや各種取引で商習慣や経験に頼ってきた不動産業界を、AIやIT技術を活用したデジタル化により変革しようとしているSREホールディングス。同社の西山和良社長に古い体質が残る同業界を、どのようなデジタル手法を駆使して変えようとしているのか、インタビューした。
今後の事業展開
――「DX銘柄2021」でSREがグランプリを獲得できた理由は何でしょうか。
まず社内の業務をデジタルの力を使って改革し、仲介ビジネスを片手取引でも成立するようにしました。さらに2つ目に、開発したツールを新規に社外で販売して実績を挙げて利益の大半を稼げるようにしたことがあります。3つ目は提供しているソリューションツールが将来的には不動産ビジネスのやり方を変革し得るものであることが評価されたのだと思います。
――コロナ禍の業績面への影響はどうでしたか。
不動産業界はもともとデジタルのツールを使う機運はあまりなかったのですが、コロナ禍により2、3年デジタル化が前倒しされたと思います。不動産会社のトップと話していても、そういう傾向がみられます。同時に金融緩和が続いているので、不動産業界は好調です。このため業界では、この機会にデジタル投資を積極的に進めておこうという流れがあり、当社もその恩恵を受けています。
――今後の事業展開はどのあたりを期待していますか。
不動産分野は自前ででき、金融分野は関係があるので、ソリューションツールの外販をさらに進めていきたいと考えています。例えば、証券の取引がある人に不動産についてのデータを掛け合わすことで、富裕層の分析に役立てることができます。そうすれば、その富裕層に適した営業が可能になります。これは不動産情報を常にブラッシュアップしている当社ではできますが、単にAIエンジニアだけの会社では不可能です。
さらに物流や旅行などの業界にも販売できると思います。物流業界では3次元空間認識を活用して倉庫スペースの最適な運用に使うことができます。旅行分野では、ツアーの発売の締め切りが迫ってきたときに、どのタイミングでどの価格で売り出すかというダイナミックプライシングの分野などで、応用できると思います。このように不動産仲介という領域から、金融や物流などの分野に浸み出してきています。今後はこれまで手掛けてきたツールを横展開して事業を広げていきたいと思います。
さらに、全ての企業がカーボンニュートラル(脱炭素)を求められるようになり、これをしていないと取引してもらえないなど死活問題になる時代が来ます。大企業だけでなく中堅中小企業も脱炭素が求められるようになるので、今後はこれに関するプロダクト、例えば二酸化炭素の排出量を可視化できるようものに取り組んでいきたい。大手は専門性を持つ人材がいるので取り組める一方、中小にとってはハードルが高いので、こうしたデジタルツールにはニーズがあると考えています。
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