劇的勝利で決勝進出の“侍ジャパン” WBC優勝時の経済効果はいくら?:関西大学が試算(1/2 ページ)
WBCで野球の日本代表が、準決勝で劇的なサヨナラ勝ちを果たし、連覇を果たした2009年大会以来、14年ぶりの決勝進出を決めた。優勝をかけて米国代表との一戦に臨むが、優勝時の経済効果はいくらなのか。関西大学が試算した。
野球の世界一決定戦「ワールドベースボールクラシック」(WBC)で“侍ジャパン”こと日本代表が、3月21日のメキシコ代表との準決勝で劇的なサヨナラ勝ちを果たし、連覇を果たした2009年大会以来、14年ぶりの決勝進出を決めた。侍ジャパンは3大会ぶりの優勝をかけて、翌22日の米国代表との一戦に臨むが、その経済効果はいくらなのか。関西大学によると、WBC優勝時の日本国内での経済効果は596億4847万円に達するという。
収益の大半が運営元の取り分に
経済効果は、グッズなどファンの直接的消費を指す「直接効果」、グッズ製造元などにもたらされる「一次波及効果」、関連企業がグッズ販売で得た収益を消費に回す「二次波及効果」を合計し、算出する。
理論経済学を専門とする関西大の宮本勝浩名誉教授は、経済効果の大半を占める直接効果について、大きく2つに分けた。WBCでは収益の多くが、運営元「ワールド・ベースボール・クラシック・インク」(WBCI)の取り分になることから「日本国内で全額消費、使用できるもの」(以下A)、「日本国内の収入であるが、一部しか日本国内で消費、使用できない直接効果」(以下B)とした。
このうちAについては、宮崎県で行った代表合宿や壮行試合(対ソフトバンク戦)、強化試合(対中日戦)などWBC開幕前の観客数、スポーツバーなど関連施設での消費額、WBC関連書籍などを対象とし、172億922万円あると推定した。
これに対してBは、運営元が関与する試合が対象。3月6日以降の強化試合(対阪神戦・オリックス戦)と、東京ドームで開催した全5試合は運営元WBCIが関与しており、収入からチケット代やスポンサー料、放映権料などを一定の割合で運営元に納める取り決めになっている。過去大会の実績からスポンサー料などを推計し、全体売り上げから日本側の収益を計算したところ、約104億581万円となった。
A(172億円)とB(104億円)を合計すると、直接効果は計276億1503万円となった。
宮本名誉教授はこの直接効果の金額から、総務省内閣府が作成した「全国の産業連関表」を用いて、一次波及効果と二次波及効果を推計。それぞれ、約176億7362万円と約143億5982万円という結果が出た。全て合計すると、侍ジャパンがWBCで優勝した際の経済効果は約596億4847万円になると結論付けた。
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