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なぜ最近の新幹線駅は「巨大駐車場併設」が増えているのか 各地で見えてきた実情と課題宮武和多哉の「乗りもの」から読み解く(4/4 ページ)

2015年に金沢市に、24年に敦賀市に到達した北陸新幹線は、マイカー用の駐車場だけでなく、クルマユーザーへの配慮が至る所で見られる。いまの時代はなぜクルマユーザー対応駅が求められているのか。まずは、実際に北陸新幹線・越前たけふ駅に行って検証してみよう。

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課題は「管理強化」「身の丈に合った整備」

 しかし、駐車場を整備したからといって、利用者を獲得できない場合もある。1日利用者平均が400人弱という長野新幹線・安中榛名駅(群馬県安中市)は「1週間無料」と銘打って周辺の団地とともに255台の駐車場を整備した。しかし駐車場は閑散として、利用者もさほど増加しなかった。かつ区画数600戸の団地も定住者が30世帯少々(05年時点)と、やることなすこと全てが失敗に終わった感がある。

 この駅は安中市の市街地から約7キロ、高低差150メートルという山の中にあり、新幹線駅の立地条件・アクセスは相当に難がある。駅としての魅力がないと、いくらクルマユーザーの駐車場を整備しても効力を発揮しない、という事例だ。

 クルマユーザー獲得を目指して新幹線駅に駐車場を併設する場合は、越前たけふ駅の失敗例にならって、ゲート管理などで利用状況を見張る必要があるだろう。かつ既存の新幹線駅でも、無料・格安での駐車場の整備を利用者が求める場合もあり、新高岡駅のように財政危機を呼ばない程度の、身の丈に合った駐車場整備が必要とされている。

宮武和多哉

バス・鉄道・クルマ・駅そば・高速道路・都市計画・MaaSなど、「動いて乗れるモノ、ヒトが動く場所」を多岐にわたって追うライター。幅広く各種記事を執筆中。政令指定都市20市・中核市62市の“朝渋滞・ラッシュアワー”体験など、現地に足を運んで体験してから書く。3世代・8人家族で、高齢化とともに生じる交通問題・介護に現在進行形で対処中。

また「駅弁・郷土料理の再現料理人」として指原莉乃さん・高島政宏さんなどと共演したことも。著書「全国“オンリーワン”路線バスの旅」(既刊2巻・イカロス出版)など。23年夏には新しい著書を出版予定。

 noteでは過去の執筆記事をまとめている。


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