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「なんだか、AIみたいですね」 ロジカル上司が部下に嫌われる理由「キレイごとナシ」のマネジメント論(2/4 ページ)

「データで正しく説明したのに、なぜ伝わらない?」。元コンサルの上司が「AIと話しているみたい」と部下に言われた本当の理由とは。論理よりも大切な“伝え方”を考える。

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AIと話しているようだと言われた上司の衝撃

 その課長は、もともと大手コンサルティングファームで5年間働いていた。MBA取得後に事業会社へ転職し、念願だった管理職のポジションを手に入れた。

 コンサル時代に培った分析力と論理的思考力を武器に、部下の指導に力を注いだ。定例会議では必ずデータを用意し、KPIの推移をグラフで可視化。商談の進捗も数値化し、成約確率を算出して優先順位を決めていた。

 「このアプローチなら、部下も納得して動いてくれる」

 そう信じて疑わなかった。しかし、状況は一向に改善しなかった。「分かっているか?」と確認すると、部下たちは口をそろえて「分かっています」と答える。そう、課長の話す内容は、部下にはしっかり理解されていたのだ。

 そして3カ月後、若手部下との1on1ミーティングで衝撃的な一言を聞くことになる。

 「課長と話していると、まるでAIと対話しているようです」

 最初は褒め言葉かと思った。論理的で効率的だという意味だろうと。しかし部下の表情は冴えなかった。詳しく聞いてみると、こう続けた。

 「とても分かりやすいです。課長の話し方は……。ただ、それだけなんです」


部下の表情は冴えなかった

 課長は困惑した。「分かりやすい」と感謝されているのに、だからといって行動は変えないというのだ。追い打ちをかけるように、飲み会の席で別の部下からも言われた。

 「課長には、心を開くことが難しいです。お酒の力を借りないと……」

 ショックだった。部下のためを思って、客観的なデータに基づき、論理的に説明していたつもりだった。それが、まさか逆効果だったとは。

 コンサル時代は、クライアントから「分析が鋭い」「説得力がある」と高く評価されていた。しかし、部下との日常的なコミュニケーションでは、その強みがむしろ弱みになっていたのだ。

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