ITmedia NEWS >

こうすれば失敗しない、撮影中と撮影後の5つのポイントデジカメ動画活用塾

» 2010年06月17日 15時05分 公開
[岡本紳吾,YAMAAN!]

ポイント1:ガイド線を活用しよう

 撮影のチャンスはいつやってくるのかわからない。特に、イベントに出かけた際などは、思ってもないタイミングで撮影することがある(撮影前の注意ポイントはこちら→デジカメ動画活用塾:こうすれば失敗しない、撮影前の5つのポイント」を参照のこと)。

 どっしりと腰を据えて撮影するような場合は、構図にも気を配れるのだが、とっさの撮影になってくると、端々まで気が回らず、構図が狂ってしまうことが多い。

 そこでガイド線だ。昔から一眼レフカメラでは、ガイド線が入ったタイプのファインダースクリーンが別売りされていた。液晶画面でプレビューする事が多い今では、たいていのカメラでガイド線の表示を行うことができる。

photo パナソニック「DMC-GF1」でのガイド線表示

 ガイド線を参考にすれば、水平や垂直を出したり、構図を決めるのも正確かつスピーディーに行える。また、写真と違って動画の場合、編集の段階で角度調整を行おうとすると、エンコードに相当の時間を要することになってしまうので、撮影時に意図した角度で撮っておきたいものだ。

ポイント2:“押さえ”も撮っておこう

 プロのカメラマンがよく言う「押さえ」はご存じだろうか。メインとなる被写体を撮り続けただけだと、後々編集したとしても、単調な作品になってしまうため、メインの被写体の周辺にあるものをいろいろ撮影しておき、編集時に所々に差し込むことで、作品にメリハリを持たせるのだ。

 押さえは保険的な意味合いでも使われる。本当に使いたいカットはさっき撮ったやつだけど、万が一を考えて同じ構図でもう1カット撮っておくか。といったシチュエーションだ。

 動画の撮影の場合は写真と違って、その場で完全にプレビューすることができない。そのため、現場でいかに素材を集めておくかが鍵になる。だから押さえも肝心なのだ。

ポイント3:見せる相手によって尺を決めよう

 撮影が終わったらいよいよ編集だ。さて、どれぐらいの長さ(尺)にまとめればいいのだろうか。筆者の場合、どんなコンテンツを誰に見せるのかで、尺の長さをコントロールしている。また、利用する動画共有サービスによっては、上限が決まっている場合もある。

 体感的な話になるが、知り合いでない人の動画コンテンツで興味を持つのは、3〜5分程度だと思う。10分に近いと「大作だな」という印象を受ける。知り合いのコンテンツの場合は、それが10分でも20分でも見てしまうことがある。だから、誰に見せるのかでまず、尺を決める。

 動画共有サービスのYouTubeは、通常のアカウントの場合、アップロードできる最長の尺が10分と決まっている。zoomeやニコニコ動画の場合はファイルサイズが絡んでくるため、ビットレートを下げればいくらでも長尺にできる利点がある。目的によって、動画共有サービスも使い分けたい。

ポイント4:動画と静止画をうまく組み合わせよう

 先ほど、押さえの話をしたが、押さえはまさに編集の時に生きてくる。失敗したカットをカバーするのはもちろん、シーンの切り替えや視聴者の注目を得るのにも、押さえのカットは役に立つからだ。

 押さえは別に動画だけである必要はなく、静止画も十分活用できる。なぜなら、一般に静止画の解像度は動画のフルHDをはるかにしのぐ広さを持っているからだ。さきほどガイド線のところで取りあげたパナソニック「DMC-GF1」ならば、動画の解像度は1280×720ピクセルだが、静止画は最大で4000×3000ピクセルだ。この差を活用しない手はない。

 静止画を動画内に貼り込む場合、あらかじめ縮小したものをだんだん拡大するようなアニメーションを使えばズームしている効果が得られるし、横方向に移動するアニメーションを使えばパンニングしている効果が得られる。

 動画のカットの間に、静止画を使ったカットを挟み込むだけで、ぐっと映像にメリハリが出るはずだ。

ポイント5:ナレーションはテロップにしよう

 筆者が最近感じたポイントを最後に挙げる。音声スタッフがいないかぎり、撮影時は自分自身でナレーションを吹き込むことがあるだろう。自分撮りのようなコンテンツだとまさにそうだ。

 しかし、最近のカメラがいかに高性能なマイクを搭載していたとしても、周りのノイズが多い状態でのナレーションは、お世辞にも聞きやすいとは言えない。筆者が最近手がけている山岳コンテンツの場合、音声担当を引き連れることが難しいため、ICレコーダーで音声を撮りつつ、動画の撮影をすると言ったことをやり始めている。それだけ、ナレーション録りは重要なのだ。本当ならアフレコにしたいぐらいだ。

 そうして作られた動画では、聞きにくい音声をできるだけ聞こうと、視聴者の注意は音声に割かれてしまう。これではせっかくの映像の魅力が半減してしまう。そこで思い切って、聞きにくいナレーションをカバーする意味で、同じ内容のテロップを重ねるようにしてみると、これがうまくまとまるのだ。

 また、職場や屋外で動画を閲覧する場合、スピーカーから音を出せない環境にあることも多い。そういう環境の人にとっても、ナレーションをテロップでカバーするというのは、多いに助けになるのだ。短編であれテロップを入れる作業は簡単じゃない。しかし、かけた手間以上に、視聴者はあなたの動画が見やすいと感じてくれるだろう。

 動画にテロップを入れなくても、YouTubeであればアノテーション機能、zoomeやニコニコ動画ではそれぞれコメントを投稿することで、動画にテロップを載せることができる。編集の必要もないので、この機能を利用するのも手だ。

 最後は動画にユーザビリティを求めるような形になってしまったが、最終的に作品を誰かに見せるのであれば、ちょっとした気配りが大きな差となって生きてくるので、ぜひ実践していただきたい。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.