ソニー「NEX」の特徴のひとつとして、コンパクトデジカメなみの小型ボディながらAPS-Cサイズの大型センサーを搭載したことが挙げられる。大型センサーを搭載することで得られるメリットはいくつか挙げられるが、高感度撮影時の画質の高さはそのひとつといえる。
花火大会やお祭りなど、夜にカメラを構える機会の多くなるこの時期、NEXはどれほど夜のシーンをきれいに描き出してくれるか。NEX-3を持って夏の夜をそぞろ歩きしてみよう。
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NEXはマニュアル撮影も可能だが、基本的にはシーン認識機能を備えた「おまかせオート」で撮影することを念頭においたカメラだ。夜の街へ持ち出して被写体へカメラを向けるとほぼ間違いなく自動的に「夜景」と認識され、ISO感度は最大1600まで上がる。ISO1600まで上がった画像はパソコンのディスプレイへ原寸表示するとさすがに暗い場所のノイズが目に付くが、それでも十分実用といえるレベルにある。
メニューから「シーンセレクト」を選択すると「手持ち夜景」モードも利用できる。これは6枚を高速連写して画像を重ね合わせ処理することでノイズ量を低減しながらも高感度の撮影が行える。マニュアル設定時にはISO12800までの高感度撮影が可能だが、手持ち夜景モードではISO6400を上限としての撮影が行われるようだ。さすがにISO6400まで上がるとノイズ量は増え、ディテールも甘くなるように感じられるが、破たんしているという印象はない。
夜間に橋の上から両岸の明かりを入れて撮影した、いわゆる「夜景」のシチュエーションでは上のような結果が得られたが、街頭が多くそれなりに明るい街中ではどうか。
おまかせオートにした状態だとカメラを向けた先々で「夜景」と認識されるまではよいが、目で見た印象以上に明るく撮影されることが多かった。明るく写すよう自動設定することでブレのない写真を目指すという方向性になっているのだと思うが、夜らしい、雰囲気のある写真は得られないこともあった。おまかせオートで明るすぎると感じたならば、メニューからプログラムオート、あるいは絞り優先などの撮影モードに切り替えてやる必要があるだろう。
夜の風景、街中と来て、次は夏祭りを撮ってみよう。屋台や周囲の照明でかなりの明るさがあるためか、おまかせオートでも「夜景」と判定されず、ほぼすべてのカットで一般的なオート撮影となった。「夜景」が選択されていなくても、積極的にISO感度を上げてブレを抑制するようで、ISO感度が1000を超えたカットも多かったが、ダイナミックレンジ拡張も有効に働いており、暗闇は暗く、明かりはきらびやかに、浴衣は鮮やかに映る。オートホワイトバランスも優秀だ。
参考として「DSC-HX5V」も同時に持ち歩いた。DSC-HX5Vは裏面照射型CMOSセンサー「Exmor R」を搭載しており暗所での撮影に強いのが特徴だが、今回のようなシチュエーションではいずれも「おまかせオート」での撮影で、シーンは「夜景」と認識されるものの、NEXとならべて撮影するとセンサーへの光量が足りないのか細かなブレが散見された。
そもそもカテゴリが違う製品なので比較する方がおかしいのだが、同じメーカーのフルオート指向の強いカメラでも、撮像素子のサイズがどれほど夜間撮影に影響を及ぼすのかの一例として見てもらえればと思う。
コンパクトデジカメでは今春以降、夜景撮影の優秀さをうたう製品が非常に増えている。NEX-3はコンパクトデジカメと同様の感覚で操作でき、APS-Cサイズセンサーの恩恵もあり、とてもきれいに夜でも撮影できる。
おまかせオートでは明るめに写しすぎる、ISO上限をもう少し速めてシャッタースピードを稼いでもいいのでは、などなど細かい部分にリクエストはあるが、「シャッターを押すだけ」でこれだけの映像が得られることは素直に驚嘆できる。「小さなボディに一眼クオリティ」はダテではないということだ。
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