前回は単焦点レンズのよさについて触れました(今日から始める単焦点レンズ(1)――「写真力」を高める単焦点レンズ)。今回はエントリーモデルの中でも人気のキヤノンEOS Kiss シリーズ最新機種「EOS Kiss X5」と、小さなボディとタッチ操作が人気のマイクロフォース機、パナソニック「Lumix DMC-GF2」を使ってお散歩しながらの撮影に取り組んでみたいと思います。
レンズですが、EOS Kiss X5には「EF28mm F2.8」、DMC-GF2には「LUMIX G 20mm F/1.7 ASPH」と、装着時に35ミリ換算40ミリ相当となるレンズをチョイスしました。町の風景を切り出すのであればもう少し広角のレンズを使うのも手ですが、今回は風景写真ではなく、気になった物を単焦点レンズでどう表現するかという「写真力アップ」に主眼を置きたいのでこの焦点距離を選択しました。
また、APS-Cサイズのカメラの場合、装着時に40ミリ相当となる単焦点レンズは比較的購入しやすい価格帯の製品が多いのも着目すべきといえるでしょう。
見慣れた路地を、普段使っているズームレンズの広角端(18ミリなど)でファインダーをのぞくと、肉眼で見る風景とは違った広がりや奥行き感を感じて、思わずシャッターを切った経験はないでしょうか。撮影したときは、大きさや広がり・奥行きを感じてシャッターを切ったはずなのに、実際にモニターでみたりプリントしてみるとあまりそのときの感動を感じられない写真になりがちです。
広角レンズは広い範囲を写せるレンズなので「広く写る」というイメージがあります。ですが、言い方を変えると「広く写るのではなく、小さく写る」のです。もし広角レンズで撮った写真から肉眼で見た際の感動を得たいならば、眼前に広がる風景のように、できるだけ大きくプリントするのが手っ取り早い方法です(むろんこの限りではありませんが)。
その場にいた本人以外へ視覚的な感動という体験を伝えるには、広さや奥行きを撮影するのではなく、「何を見たのか」「何を見せたいのか」を整理しながら撮影することが大切と言えるでしょう。そのためには漠然とシャッターを切るのではなく、自分が気になった「モノ」「色」「カタチ」などを分かりやすく表現する必要があります。まずは単焦点レンズを装着し、余計な物を画面の中に写さない、前後左右自在に動いて工夫することから始めましょう。
コツがつかめる様になったら、キットレンズの広角端で被写体と広がる背景を演出として使えるようになります。きっと40ミリ単焦点では撮れなかった世界が見えてくると思います。単焦点レンズとズームレンズを組み合わせれば、写真全体でメリハリやリズム感を強く表現できるようになります。
道を歩いていると、猫に出会いました。野良猫は人を警戒するので、まずは遠目に様子をうかがいながら観察しましょう。もし、怖がって逃げてしまった場合は、それはそれでひとつの経験。焦らずゆっくり撮影するのも、お散歩撮影の醍醐味です。きっとまたどこかで、チャンスは訪れます。
街で見かけた猫を撮影したことがある方も多いかと思いますが、何番目のシチュエーションまで撮影したことがあるでしょうか。「あ、猫だ」と見つけて最初のカットまではよく撮る、ゆっくりと近づいて3番目まで撮影したことがある、猫が大好きなのでアングルやポーズの変化を待って5番目まで撮影した事があるなどさまざまな経験があるかと思います。
ちなみに、この5枚の中から1枚選ぶとすれば、筆者は4番目を選びます。一番猫が大きく写っている5番目を選ばない理由は、猫がメイン過ぎて周りの明るさ・雰囲気があまり伝わらないと感じるからです。皆さんはどう感じますでしょうか。「こうすればどう写る?」、「ここから見れば新しい発見があるのでは?」という好奇心をもって撮影することは、写真を楽しくする要素のひとつだと思います。
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