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さらに進化したマニア向けコンパクト――シグマ「DP2x」(2/3 ページ)

» 2011年06月15日 11時44分 公開
[永山昌克,ITmedia]
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AFの高速化とCPモードの新搭載

 AFは一般的なコントラスト検出方式で、測距点は9点から選べる。前述したように、AFスピードは従来機より高速化し、大きなストレスを感じることはほぼなくなった。薄暗いシーンでピントが合わないケースは見られたが、家庭の室内程度の明るさがあれば問題なく合焦する。

 ピントが合う範囲は、最短28センチから無限遠までに対応。「LIMIT」モードに切り替えて、ピントが合う範囲を1メートルから無限遠までの間に制限したり、マニュアルフォーカスを選ぶこともできる。ただし、マクロモードはない。近接撮影がしたい場合は、オプションのクローズアップレンズを購入しよう。

photophoto ドライブモードの1つとして「キャプチャー優先」を新搭載(写真=左)、カラーモードでは、スタンダードやビビッドなど7種類の発色を選べる(写真=右)
photophoto 撮影メニューでは、インターバルタイマーやグリッド表示などを選べる(写真=左)、好きな設定の組み合わせを登録できる「マイセッティング」や、露出調整ボタンの「機能入換」にも対応する(写真=右)

 ドライブモードは、1コマ撮影、連続撮影、セルフタイマー2秒/10秒、キャプチャー優先の5モードから選べる。このうち新機能のキャプチャー優先を選ぶと、バッファメモリがいっぱいになるまでの間(RAWで3コマ、JPEGで4コマ)は画像処理が行われず、連続してシャッターを切ることが可能になる。シャッターチャンス重視で撮りたいときに役立つ機能だ。

 そのほかには、7種類の発色を選べる「カラーモード」や、画質傾向をカスタマイズする「ピクチャーセッティング」、一定の間隔で自動撮影を行うインターバルタイマー、撮影直後に音声を記録する「音声付静止画」などの機能を備える。

慣れると楽しい単焦点の標準レンズ

 レンズは、35ミリ換算41ミリ相当の焦点距離を持つ単焦点レンズを搭載。開放値はF2.8となる。一般的なコンパクトデジカメのワイド側に比べると画角が狭く、しかもズームができないため、初めて使う人は不便や不自由を感じるかもしれない。だが、撮影自体が好きな人であれば、慣れるにしたがって、不自由さが面白さに変わってくるはず。

 41ミリ相当という画角は、広角レンズの感覚で撮ろうとすると無理が生じる。欲張ってアレもコレも写そうとしても、画面に収まりきらないのだ。かといって1つの対象物をシンプルに捉えようとすると、距離が足らずに構図に無駄な空間が生じがち。そんな試行錯誤を繰り返していけば、そのうち徐々に41ミリ相当に最適な距離感をつかめるだろう。風景の一部分を切り取る感覚のフレーミングを楽しめる画角だ。

 撮像素子には、20.7×13.8ミリという大型のCMOS「X3ダイレクトイメージセンサー」を搭載する。このセンサーは、光の3原色であるRGBを3層構造でまとめて取り込む独特の仕組みによって、シャープネスが高く立体的な描写を実現する。感度は、JPEGでは最低ISO50から最高ISO800までに対応し、RAW記録ではさらにISO1600とISO3200の高感度も選べる。

 実写では、被写体の質感をリアルに再現する描写性能の高さを確認することができた。レンズやバッテリを含めて300グラム以下の小型軽量カメラとしてはトップレベルの描写力といっていい。ただし、オートホワイトバランスは安定感に欠け、発色についても独特のクセがある。

 以下の作例は、できるだけ狙いに合った色調になるよう、カラーモードとピクチャーセッティングと適時調整しながらJPEGで撮影したものだ。本来ならRAWで撮影し、現像時に最適化したほうが楽だとは思うが、今回は現場での色調整を楽しんでみた。DP2xは、誰にでもお勧めできる優等生はでないが、写真撮影を趣味にする人なら一度は使ってみたいカメラである。

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