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超望遠1000ミリの光学42倍ズーム機――ニコン「COOLPIX P510」(2/3 ページ)

» 2012年07月11日 13時24分 公開
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GPS搭載、リファインされた操作系

 P510にはGPSが搭載され、写真への位置情報の埋め込みとGPSロガー機能を使用できるようになった。GPSの測位は開けた場所なら40〜60秒ほどで完了。GPSロガー機能を有効にすると、電源をオフにするたびにGPS測位を行うため電源はオフにならない旨のメッセージが表示される。

 GPSロガーが有効の場合は、何もしなくてもバッテリーを消費しますよという警告表示はちょっとしつこいと思ったりしたのだが、ロガー機能を無効にし忘れたとき役立つ地味にありがたい機能でもある。GPSが搭載されたことで、トレッキングの記録写真を残すには最適の1台となったのではないだろうか。

photophoto 本体上部にはGPSユニットが搭載されている(写真=左)。ViewNX2で地図上で写真を確認することができる。GPSの誤差が多少あるようだ(写真=右)

 P500に比べると、ボタンなどの操作系が多少変更されている。シャッターボタンの近くにあった連写ボタンがFnボタンとなり、新たにAFセレクトなど好みの機能を割り当てられるようになった。デフォルトでは従来通りの連写設定となっているので、P500ユーザーからすれば、表記は変わってはいるものの迷わずに使うことができる。

 あと背面の動画撮影ボタンの周りについていた、通常動画/ハイスピード動画切り替えレバーがなくなった。ハイスピード動画の切り替えは動画撮影メニューから呼び出すことで行う。ちなみにセンサーの変更からなのか、P500にあったハイスピード動画240fps(320×240ピクセル)モードがなくなり120fps(640×240ピクセル)のみとなった。この変更は、フルHD動画撮影がメインであれば、レバーの位置によるミスが減るので使いやすくなったとも言える。

photophoto 連写ボタンがFnボタンとなり、動画撮影ボタン周りにあった切り替えレバーがなくなった(写真=左)。Fnボタンには画像サイズやホワイトバランスなどの項目を割り当てることができる(写真=右)

メニュー選択に使うマルチセレクターが回転ダイヤル付きのロータリーマルチセレクターとなり、操作性が向上している。特に、マニュアル露出時にはボタンで絞りやシャッタースピードのどちらを変更するか選ぶ必要がなくなり、コマンドダイヤルでシャッタースピードを、ロータリーマルチセレクターで絞りをダイレクトに調整できるようになった。さらに、コマンドダイヤルとロータリーマルチセレクターで調整する項目は設定で入れ替えることも可能で、頻繁に使う方をコマンドダイヤルといったカスタマイズもできる。

 ロータリーマルチセレクターはプッシュボタンとしても使いやすくこの変更は大歓迎だ。ただし、全部の機能がロータリーマルチセレクターに対応しておらず、マニュアルフォーカス時の操作は、ロータリーマルチセレクターの回転ではなく上下ボタン操作のままという点が気になった。

photo 回転ダイヤル付きのロータリーマルチセレクター

 手にすることで手軽に広角から超望遠までの撮影が可能となり、新しい領域での撮影が楽しめるようになった。それに伴いカメラ側にも新しい領域での次の一手が必要になったようにも思う。まずは切に願いたいのはオートフォーカスの高速化、そしてオールマイティーに使えるカメラだからこそ欲しい防水性能、動画の超望遠撮影時に欲しい望遠マイク機能など、便利に使えてより完成度の高いカメラを目指すには、まだまだ伸びしろがあるジャンルであると感じた。

 ネオ一眼を使っているユーザーであれば、1000ミリの超望遠撮影が可能となった光学42倍ズームやGPS搭載によってP510は魅力的な製品になった分かると思うのだが、ネオ一眼を知らない人はデジタル一眼レフカメラに似た外観を見て、手軽さや携帯性に対するマイナス要素を感じるかもしれない。

photo デジタル一眼レフ「D3200」と並べて

 ただ、サイズや質量は先に書いた通りで、標準レンズをつけたデジタル一眼レフより小さく・軽い。さらにデジタル一眼レフカメラ用の超望遠レンズ単体の大きさ・質量と比較するとP510の圧倒的なコンパクトさが光る。これらの要素に全員が共感できるとは思わないが、作品撮りより記録撮影がメインであったり、そもそも旅行やトレッキングがメインで写真も撮れれば良いと言うニーズにはぴったりのジャンルであるといえる。

 もちろんこうした用途以外に、1000ミリという焦点距離での撮影は標準ズーム域では表現できない独特の世界があり、その点にも十分に魅力を感じるカメラである。

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