タムロンからモデルナンバー「B016」となる「16-300mm F/3.5-6.3 Di II VC PZD MACRO」が登場した。これは原稿執筆時点で世界最高のズーム比約18.8倍を誇るAPS-C用レンズだ。
レンズ自体はワイド端16ミリ(35ミリ換算約25ミリ相当)から300ミリ(約465ミリ)までカバーするためやや大きめなサイズとなっているものの、キヤノン「EOS 70D」に装着した感じは悪くない。むしろちょうどいいサイズ感と重量感であった。また新しいデザインになったせいか、シンプルで洗練された印象も受けた。これ一本だけでブラブラと撮影に出かけてみた。
自分は高倍率ズームが好きだ。明るさと描写は単焦点レンズに敵わないものの、自由な画角で被写体を切り取ってフレーミングできるのがいい。ワイド端は28ミリ相当ぐらいでいいが、テレ端はやはり300ミリ相当が欲しい。このレンズはどちらもそれをクリアしていて、ブラブラ歩きのスナップで大いに威力を発揮してくれた。
ただ使っていて気になったのはズーミング時のトルク変動。これだけの高倍率なので仕方がない点もあるが、ズームリング操作中に「ググッ」と引っかかって重たくなる部分が気になった。また手ブレ補正機構「VC (Vibration Compensation)」の動作音だ。日中の路上でも聞こえるほどなので、静かな室内ではかなり気になることだろう。
歩行中に視線を感じて見上げるとネコが見つめていた。すかさずテレ端でシャッターを切った。毛並みの質感がいい感じである。
和室に生けられた花を逆光で撮影。やや糸巻き収差が気になるが、自然で落ち着いた描写が好ましい。
このレンズの特長はズーム全域で最短撮影距離39センチまで寄れることだ。歴史を感じさせる置き時計をテレ端でクローズアップ。意図した構図で撮影ができた。
標準域で洋館の窓をスナップ。このレンジ(上の作例では57ミリ)でも糸巻き収差が現れる。窓枠やガラスの質感描写はいい印象である。
ワイド端で路地の風景をシューティング。高倍率ズームレンズは一瞬でテレ端からワイド端へのダイナミックな構図変更が可能なのが快感である。やや緩い傾向であるが自然な色再現と質感表現の写りだ。
ブラブラ中に道を挟んで反対側にあるカーショップを撮影。ズームレンズは気になった被写体を自在に切り取ることができるのが醍醐味(だいごみ)だ。高倍率であればその範囲が大きく拡がる。いかに被写体を見つけるかがいい写真の鍵だ。
ワイド端で新緑あふれる公園を広々と撮影。18.8倍ものズームレンズとなればほぼどんな撮影対象でも対応できるので、最初のズームレンズとしてチョイスするのにいいかもしれない。これに明るい単焦点レンズを数本組み合わせればより撮影を楽しめることだろう。
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