出版業界で起こったニュースにならない出来事をまとめてお届けする週刊連載。実は今週、出版業界は電子書籍関連で幾つか重要な動きがありました。ここでまとめてお伝えします。
出版業界で起こったニュースにならない出来事をまとめてお届け。2012年の出版業界を占うヒントが隠されているかも?
2月24日、著者と出版社の権利付与、書籍・電子書籍の読書振興策などをテーマに議論した。メンバーは超党派の議員や日本文藝家協会、書協、文字・活字文化推進機構、国立国会図書館など。座長は中川正春衆議院議員。事務局長は文字・活字文化推進機構の肥田美代子理事長。
初会合後の記者会見で中川座長は「紙媒体と電子書籍がウィンウィンとなるように、知のインフラとして発展させるための勉強会」と語り、ワーキングチームの叩き台から議論する場とした。日本出版学会の植村八潮副会長は「ワーキングチームを立ち上げる。出版社の権利は出版権の拡大がいいか、著作隣接権かなどに加え、集中管理システムの在り方も話し合う」と補足した。3月中旬に2回目を開き、月1回のペースで6月までに中間まとめを発表する。
日本出版インフラセンター(JPO)は3月8日午後2時から、東京・神楽坂の日本出版会館4階で「コンテンツ緊急電子化事業」の出版社向け説明会を開く。同説明会は2月27日にも開催されるが、この日の定員数を大幅に超える申し込みがあったため、3月8日に再度行うことが決まった。同説明会には、デジタルコンテンツの販売業者数社も参加するという。
東北地区の支援と電子事業の推進を目的に、経産省から10億円の補助金措置された同事業で、野間省伸氏(講談社)を委員長にしたパブリッシャーズフォーラム(有識者委員会)のメンバーが決まった。出版社、取次会社、書店、図書館など30団体で組織され、正式にスタートした。
各委員会の委員長は、次の通り。
監理委員会=菊池明郎氏(筑摩書房)、標準化委員会=唐木厚氏(講談社)、普及促進委員会=植村八潮氏(東京電機大学出版局)。審査委員会は未決。標準化委員会のデジタル化業務フローWGと同フォーマットの仕様策定WGの委員長は沢辺均氏(ポット出版)。
2月24日開催の定時株主総会・取締役会で岩崎弘明会長が社長を兼任し、新役員には金井由紀編集長(旧姓・松岡)が新任した。松岡専務が営業、金井取締役が編集を担当する。岩崎社長兼会長は「出版界の大波は予測不能で、体制を刷新し、若返りを図った」とコメント。なお、任期満了で黒田丈二社長、津久井惠常務、今西栄一取締役は退任した。
講談社は2月20日、株主総会および取締役会で決算・役員人事を確定した。第73期(H22.12.1〜同23.11.30)の決算概要は、売上高1219億2900万円(前年比0.3%減)、営業利益2億円(前年は18億円の損失)、税引前当期純利益7億2500万円(同239.9%増)、当期純利益1億6400万円(同70.8%減)。
役員人事では、山根隆常務が専務に、清水保雅、鈴木哲両取締役がそれぞれ常務に昇任。また、渡瀬昌彦氏が取締役に。キングレコード社長の重村博文氏は非常勤取締役に新任した。
2月23日、「角川俳句ライブラリー」と「同短歌ライブラリー」を新刊各2点ずつ揃えて創刊する。著名執筆人による入門書から評論書、エッセイなど、毎月2〜3点のペースでラインアップしていく。発売元は角川グループパブリッシング。価格1500〜1800円。
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