本大好き司書メイドの好感度を上げ、年に一度のデート権を得るべく繰り広げられるメイドたちのラブアタック。司書見習いのサヤは、最近、古事記関連に熱くなっているようで……。
この街の片隅に、メイドが営む私設図書館がありました。
そこには書架を守る司書メイドがいます。ほんわりおっとりした司書メイド ミソノに、淡い思いを抱くメイドもいるようです。
ミソノの好感度を上げようと、今日もお気に入りを持って、書架にメイドがやってきます。
サヤちゃんはここのところ、古事記にまつわる本をよく読んでいますね。どうして古事記に興味を持ったのかしら?
小さいころに、荻原規子さんの『空色勾玉』を読んだのがきっかけですねー。
児童書らしからぬ厚さで子ども向けの本棚の中でも目立つ本ね!
古事記を下敷きにしたファンタジー作品で、『白鳥異伝』、『薄紅天女』と3つあわせて勾玉三部作と呼ばれています。面白くて何度も読み返しているうちに、下敷きになっている古事記にも興味を持った、という感じでしょうか。
実はわたくし、勾玉三部作は何度も……なんっっ度も挑戦しているのに、いつもなぜか最後まで読み終わることができなくて、図書館の返却期限が来てしまうシリーズなのよ……。
ところで、ストーリーは古事記がベースなのかしら?
お話自体は古事記とは全然違う感じですね。ただ登場人物にモデルになっている神々がいたり、お話自体が神話をモチーフにしていたりするんですよ。『空色勾玉』はアマテラスやツクヨミやスサノヲをモデルにした人(?)が出てくるし、『白鳥異伝』はヤマトタケル伝説をモチーフにしていますね。『薄紅天女』は少し時代が下って、『更級日記』とアテルイ伝説がモチーフになっています。
古事記のスピンオフ的と解釈してもいいのかしら……。
古事記では「こういう神々がいて、その神々がこんなことをして、こうなった」という感じで事実だけが淡々と描かれていて、神々の内面とか心情はほとんど描かれないんですよ。なので古事記で神々に共感するのは正直なところ無理……かもしれないです。
例えば古事記でヤマトタケルの心情がうかがえるのって「自分は父に嫌われている」という言葉くらいしかないんですよ。でも『白鳥異伝』には父に嫌われていることに悩んだり苦しんだり、でもそれでも頑張ろうとするヤマトタケル(がモデルになってる人)の想いだったりがすごく丁寧に描かれているので、すごく共感できます。
勾玉三部作ではどちらかというと心情や内面にスポットが当てられている感じでしょうか。
ストーリーはオロチが出てきたりするような、伝説的なお話になってるのかしら。
お話はなんというかボーイ・ミーツ・ガールな感じで、よくあるといえばよくあるタイプのお話ではあるんですが、登場人物たちに共感できるからこそ、一緒になってハラハラドキドキしながら楽しむことができます。そしていろいろなことを乗り越えた先にあるハッピーエンドは、「本当に良かった、幸せだ」という気持ちになれるんですよー。
古事記を知らなくても十分楽しめるんですが、知っているとお話の背後にある世界の広がりみたいなものを感じられる気がします。だからでしょうか、かなりファンダジー作品なのに地に足がついているんですよね。普段ファンダジーを読まない方でもこれなら読める、かもしれません。
わたくしももう一度手に取ってみようかしら!
本への愛情、オススメの仕方が上手だとミソノの好感度アップ! それぞれミソノの心を占めている割合は……?
エリス:19% レイラ:42% サヤ:53%
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