Project Looking Glassがjava.netで公開、ライセンスは「GPL」

Java 3DがJRLで公開された翌日、早くもProject Looking Glassがオープンソース化された。XサーバにSunが独自に手を入れたことからも分かるとおり、「GPL」(General Public License)が適用されるという。マクニーリーCEOは、同社こそ「オープンコミュニティー最大の支援者」だと強調する。

» 2004年06月30日 08時07分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 JavaOne 2004 San Franciscoの初日、オープンソース化がひとりだけお預けを食った格好の「Project Looking Glass」だったが、翌6月29日(米国時間)には早くもSun Microsystemsが運営するコミュニティーサイト、「java.net」でプロジェクトが公開された。

Project Looking Glassの開発者、ヒデヤ・カワハラ氏をステージに引き上げてオープンソース化を発表したSunのスコット・マクニーリーCEO

 ひと足先に公開された「Java 3D」「JDesktop Network Components」、および「JDesktop Integration Components」と、このProject Looking Glassという一連のプロジェクトに適用されるライセンスについて、ジョナサン・シュワルツ社長兼COOは初日、記者の質問に「JRL(Java Research License)が適用される」と答えていたが、Project Looking Glassに関しては、XサーバにSunが独自に手を入れたことからも分かるとおり、やはり「GPL」(General Public License)が適用される。

 グラフィカルデスクトップスイートのProject Looking Glassは、3Dスペースにアプリケーションウインドウを配置できるのが特徴。SolarisとLinuxに対応し、ウインドウの透明化、回転、拡大/縮小、画面の端に寄せる機能などを備える。昨年9月のSunNetwork 2003カンファレンスでベールを脱ぎ、Java 3Dにあった「重い」「遅い」というイメージを払拭している。

 「JRL」(Java Research License)で公開されたJava 3Dとは日を違えてオープンソース化したのは、やはりドラマチックな効果を狙ったのだろうか。なお、JDesktop Network ComponentsおよびJDesktop Integration Componentsという2つのモジュールについてもGPLと比らべて緩やかな「LGPL」(Lesser Generic Public License)で公開されていることがjava.netで確認できた。

 2日目午前のキーノート後に行われたプレスQ&Aセッションで、マクニーリー氏は、ライセンスの方法を問わず、あくまでも同社がオープンな姿勢を貫いていくことを確認した。

オープンコミュニティー最大の支援者

 彼はしばしば、「Sunはカリフォルニア大学バークレー校に次いで最も多くのソースコードを寄贈している」と話す。この日のキーノートでも、ビル・ジョイ氏(Sun共同創設者)が開発したBSD(Berkeley Software Distribution)UNIXをすべての製品ラインに採用し、TCP/IPも標準で組み込んだ最初のベンダーだとし、Sunが生まれながらにしてオープンなコミュニティーの支援者であることを強調した。

 ちなみにBSDライセンスは、著作権を表示すれば派生物のコードを非公開にできるなど商用化に向いている。派生物にも公開を求める厳格なGPLに比べて極めて緩やかなものといえ、ApacheライセンスもこのBSDに近いという。

 プレスQ&Aセッションでも「われわれはソフトウェアだけでなく、ハードウェアも公開している。SPARC V9をライセンスしている富士通はSPARC64を開発・製品化している」と話した。

 同社のスタンスを理解するのには、SPARCや「NFS」(Network File System)の例が最も適している。どちらのケースでも、Sunは仕様を公開し、さまざまな実装の登場を促して市場を拡大することに成功した。Javaではこれをさらに推し進め、JCP(Java Community Process)によって仕様策定そのものにさまざまなベンダーの参画を促している。JCPの各分科会はSunがコントロールしているわけではなく、IBMをはじめとする55のベンダーが議長を務めていることにもマクニーリー氏は言及する。

 「オープンでフェアなJCPは、互換性を維持しながらイノベーションを可能にしている。MicrosoftやRed HatにもJCPへの招待状を送りたい。これは私からの公開書簡だ」(マクニーリー氏)

 彼は、Javaのオープンソース化を求める書簡を送ったIBMへの皮肉も忘れない。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ