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» 2004年07月13日 07時51分 公開

商用IXも地域分散の流れ、BBIXがパネルディスカッション開催

インターネットのバックボーンを支えるIX。現在は東京中心に存在するが、地域IXの必要性が説かれている。トラフィックの東京集中回避、災害対策、遅延の問題など理由は多々ある。商用IXとして地域分散に力を入れるBBIXがパネルディスカッションを開いた。

[ITmedia]

 ISPのネットワークを相互に接続してトラフィック交換を行うIX(インターネット・エクスチェンジ)。インターネットのバックボーンを支える重要なサービスだが、IXの東京一極集中を懸念する声は今も高い。地方で閉じたトラフィックにもかかわらず東京を介して折り返すことで、バックボーンに不要なトラフィックを発生させたりする原因になるからだ。

 ソフトバンクBBグループで昨年9月から商用IXサービスを開始したBBIXは7月12日、大阪のホテルで、地域ISPなどを交えて地域分散型IXサービスの必要性を考えるパネルディスカッションを開催した。

パネルディスカッション 今後のネットワークの形として地域分散を考えたBBIX大阪セミナー

 BBIXは東京に続き、この4月には大阪・堂島でもIXサービスを開始。今後、仙台・福岡をはじめ、2004年度中には全国6主要都市でサービス提供を予定するなど、地域分散型のIXに力を入れている。限られた時間の中だったが、ディスカッションは、日本のトラフィックの現状そして地域IXの意味を探るものとなった。

 司会はBBIX取締役の福智道一氏。パネリストは、インテックネットコア取締役CSOの中川郁夫氏、倉敷ケーブルテレビ技術課長の小山海平氏、総務省次世代IPインフラ研究会の秋本芳徳氏、ソフトバンクBB技術部部長の倉本義史氏、BBIX取締役の鶴巻悟氏で行われた。

 それぞれが行ったプレゼンテーションから見えてきたのは、インターネットのバンクボーンに流れるトラフィック構造の変化だ。富山で地域IXに携わる中川氏が行ったプレゼンからは、近年のトラフィックの「量」「地域性」「偏り」「質」の変化が分かる。

 まずトラフィック量だが、年に2〜3倍のペースとものすごい勢いで増加している。2〜3倍という増加率は全員が数字の上でも一致しており、例えばソフトバンクBBでは、数年後には同社のバックボーンのトラフィックは500Gbps〜1Tbpsに達してしまう状態というほどだ。

 地域性という点では、90年代後半まで国内と国際のトラフィックは2:8の関係にあったが、2000年あたりになるとその割合は反転。2003年〜2004年にはP2Pトラフィックの急増により、7:3(一部では8:2)と完全に国内のトラフィックが上回っている。そして国内の地域と地域外のトラフィックの割合も、地域に偏りだしている傾向にあるという。なぜなら「コンテンツのローカル化はインターネットの潮流の一つ」(中川氏)だからだという。また偏りという点では、流れるトラフィックがダウンロード型からP2Pに移行する流れの中で分散化の傾向にある。

 最後に質の面では、東京から離れるほど遅延が発生しスループットが出ないという状況が発生している。中川氏の富山ではユーザーが100MpbsのFTTHサービスを利用していても、トラフィックが東京を往復している状態では「どんなに頑張っても20Mしかでない」状態。スループットに敏感なユーザーも多く、この問題は地域ISPにとっては重要になる可能性が高い。

 地域ISPから参加した倉敷ケーブルテレビの小山氏は、地域にグローバルな品質の接続環境を提供するのが地域ISPの存在意義と言い、そのため、同社では東京まで1ホップ/遅延9msで接続しており、Tear1カスタマー経路以外の国内経路はPeer経路で済ませたいと話す。地域IXに期待を寄せるものの、「経路とトラフィックがさばけない」「低価格化・高品質化されていない」などの否定的な意見も耳にするとし、これから考えるところというのが率直なところのようだ。

 総務省の秋本氏もトラフィックの増加がルータの処理能力を上回ってしまう恐れや、東京一極集中などの現状を共有するものの、「トラフィックがどの程度ローカライズされているのか」と疑問を投げかけた。「大手ISPも感覚でしかつかんでいないのが現状ではないか。電話であれば、NTTから県内通話が全通話の75%を占めているという報告が寄せられ分かるが、VoIPでも同じなのか、計測されたデータがない。P2Pはクライアント/サーバ型に比べてローカライズされているというのは想像では分かるが」という。

 その後、ソフトバンクBBの倉本氏は、同社のトラフィックのうち地域内に閉じる量を独自に計算、帯域に換算して見せた。地域内トラフィックは、まだそれほど多い割合になってはいないが、「今後、地域内で閉じるトラフィックは増えるだろう」とした。

 ただ、地域ISPのサービス品質向上という面で、地域IXが果たせる役割は大きいようだ。地域内のコンテンツが充実してくれば、東京を介すよりも遅延が減りサービス品質は高まる。結果として、地域格差がなくなり、日本全体のブロードバンド接続が使いやすくなる。総務省の秋本氏は、トラフィック交換地点を増やしてもバックボーンの押し付け合いが起こる可能性もあり、それだけで良いとは限らないとしたが、「今後は地域分散させる流れだろう。側面支援する施策を打ちたい。そのための技術開発が必要なら予算をとりたい」とも述べた。

 また中川氏は、点で結ぶ発想でなく、全国を面でカバーできるようなネーションワイドの広域分散IXモデルも考えていく必要があると提案した。

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