Linuxの躍進を示したLinuxWorld

今年のLinuxWorldは、来場者・出展社ともに昨年より増え、にぎわいを見せた。開催期間中にはNovellのSUSE Enterprise Server 9.0からHPのLinux搭載ノートPCまで、さまざまな製品・サービスが発表された。(IDG)

» 2004年08月09日 14時25分 公開
[IDG Japan]
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 米サンフランシスコで先週開催されたLinuxWorld Conference & Expoでは、データセンターからデスクトップまで、既存のITアーキテクチャにオープンソースソフトを統合する分野に注目が集まった。エンタープライズ顧客に向けて、機会を広げることになる。

 「今年の大きなテーマは、Linuxとオープンソースソフトによるソリューションの多くで増えている『エンタープライズの中心性』だ。エンタープライズ分野で多くの経験を持つ(Hewlett-Packard、IBM、Sun Microsystemsなどの)大手ベンダーが提供する組織のITアーキテクチャにオープンソースとプロプライエタリなソリューションを統合するのに役立つ製品・サービスが増えると、IT幹部は見込んでいるはずだ」とFrances Groupの主席ビジネスアナリスト兼ITインフラ管理実践指導者マイケル・ドーチ氏。

 主催者によると、今回のLinuxWorld来場者数は推定約1万人。展示フロアは、昨年よりも多くのエンタープライズユーザーとIT幹部でにぎわっていたという。名の知れたベンダーから新興企業まで、総出展社数は昨年から55社増えて200社を超えた。

 製品関連の発表としては、(これまでMicrosoft信者だった)HPとUnisysがハイエンドサーバでLinuxをサポートすると発表するなど、一般的なハードとカーネルに関するニュースがあった。Novellは、大規模なマルチプロセッサシステムのサポートを強化したLinuxカーネル2.6対応の「SUSE Enterprise Server 9.0」の出荷開始を発表している。

 デスクトップ分野でのサポート拡大に関するニュースも出ている。HPとSunはLinux採用のシンクライアントを披露し、HPは同社が言うところの「Linuxプリインストールで出荷する初のビジネス向けノートPC」の出荷を発表している。

 IBMはLinuxWorldを機会に、POWERベースサーバ向けLinuxに関する独立系ソフトベンダー(ISV)のサポートを拡大、またApache Software Foundationを通じて自社のソフト製品に採用しているリレーショナルデータベースCloudscapeをオープンソース化する計画も明かした。Javaアプリケーションの開発を促進することが目的だとIBM幹部は話している。

 Computer Associates International(CA)も、CA Trusted Open Source License下でリレーショナルデータベースIngresのソースコードを公開すると発表し、オープンソースの領域に踏み込んだ。併せて、企業がデータベースからIngresに乗り換えるのを支援するオープンソース移行ツールキットを開発してもらうため、開発者向けに100万ドルの懸賞金を用意すると発表している。

 大手LinuxディストリビューターのRed Hatは、Linuxの枠を超えて、Javaアプリケーションサーバを披露した。

 「OSは重要だが、パズルの1ピースにすぎない」とD.H. Browne Associatesのアナリスト、ピエール・フリック氏は語る。「主流のプレイヤーになってUNIXとWindowsに立ち向かうのなら、残りのピースをそろえなければならない。LinuxWorldはまさに残りのピースが集まる場所だ」

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