PeopleSoft HRMS 8.9発表、業界特化型機能も追加PeopleSoft Connect 2004

PeopleSoft Connect 2004は2日目を迎え、グプタ執行副社長は新しいHRMS 8.9の特筆すべき点として、業界に特化した機能が追加されているのを挙げた。

» 2004年09月23日 19時17分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 「人事部長が工場の生産性改善に貢献するなんてだれが想像できたでしょう?」── PeopleSoftで製品と技術を統括するラム・グプタ執行副社長は、新しい人事管理ソリューションから導入される業界に特化した機能についてこう説明した。

 PeopleSoftは過去最大の規模を誇る「PeopleSoft Connect 2004」年次ユーザーカンファレンスの初日、250以上の機能強化を図った「PeopleSoft Enterprise Human Resources Management Solution(HRMS)8.9」を発表している。2日目を迎えた米国時間9月22日の基調講演でグプタ氏は、新しいHRMS 8.9の特筆すべき点として、業界に特化した機能が追加されているのを挙げた。

 「第4四半期にリリースされる新しいHRMS 8.9では、“人”を中心としたデータモデルをさらに追求し、派遣社員の管理も実現しているが、業界に特化した垂直型の機能も追加している」とグプタ氏。

PeopleSoftの以前はWeb MDの上級副社長も務めたグプタ執行副社長

業界ごとに異なるソリューション

 これまで人事管理ソリューションといえば、どの業界でも変わらない水平的な機能からなると思われてきたが、グプタ氏は、「ビジネス部門と一緒になって、より良いパフォーマンスを引き出すためのパートナーとしての役割が人事部門に期待される中、求められる機能は業界ごとに違ってくる」と話す。

 研修を例に取れば、それはよく分かる。工場ラインの生産性が下がっているとの指標が出た場合、工場長は人事管理が何か影響しているのでは考え、人事部門が研修の受講とその終了認定を調べたところ、新規採用者の一部が研修を受けていないことが分かった、というようなケースだ。製造業のためのe-ラーニング機能が統合され、新規採用者が「リーン生産方式」に対する理解が深められれば、工場の生産性改善につながる。

 HRMS 8.9では、実際に金融、製造、小売り、および政府・自治体向けに特化した垂直型の機能を用意する。

 金融ではインセンティブを管理する業界特有のニーズがあり、製造業では組合員の細かな扱いに対するニーズがあるからだ。また、小売り特有のニーズとしては、各人のスキルに応じたきめ細かなスタッフ配置計画を実施し、ムダを省いてコストを抑えたいというものもある。

 人事管理ソリューションを担当するグローバルプロダクトマーケティング副社長のマーク・ラング氏は、Human Capital Management(HCM)はストラテジーであり、ビジネスプロセスに関する原則だとし、単なるHR(Human Resource:人事)とは異なると指摘する。自ずとHCMには、人事採用からe-ラーニングやスタッフ配置計画、あるいはインセンティブの管理といった業界特有のニーズがあると話す。

 2003年5月に「Total Ownership Experience」(TOE)構想をぶち上げたPeopleSoftは、HRMS 8.9が顧客らの声を反映した「カスタマーロイヤルティリリース」だとする。ラング氏によれば、約500のユーザーグループからの要求に耳を傾け、250以上の機能強化を盛り込んだという。

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