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» 2004年10月14日 18時07分 公開

「Ensemble」で国際物流システムを再構築する日本通運

インターシステムズジャパンは、創業以来26年目にしてリリースするという2つ目のソフトウェア「Ensemble」を発表した。パイロットユーザーとしてEnsembleをベースに基幹システムを再構築している日本通運の事例が紹介されている。

[怒賀新也,ITmedia]

 米Intersystemsの日本法人、インターシステムズジャパンは10月14日、都内のホテルで記者発表会を行い、創業以来26年目にしてリリースするという2つ目のソフトウェア「Ensemble」を発表した。同製品は、アプリケーション統合をシングルアーキテクチャで行うプラットフォーム。もともとは、パフォーマンスの良さで知られる同社の多次元データベース「Cache」のユーザー向けにオプションとして提供していたアプリケーション統合機能を製品化したものとなっている。

 来日した米Intersystemsの創業者兼CEOのフィリップ・T・レーガン氏は、「投資家よりも顧客の成功に注力したい」と話し、同社があえて株式を上場していない理由を説明した。本社は米マサチューセッツ州ケンブリッジ。Cacheに加え、Ensembleで早期開発(RAD:Rapid Application Development)環境を提供することの2つが、同氏のビジョンであると話している。

創業者兼CEOのフィリップ・T・レーガン氏

パイロットユーザーに日本通運

 Ensembleの機能については別記事(既存資産から新たなアプリケーションを――米Intersystemsの「Ensemble」)で掲載しているため、ここでは、Ensembleのパイロットユーザーとして日本通運が現在、国際海上輸送における物流システムを再構築していることについて紹介したい。

 日本通運は、自動車や鉄道、海上運送をはじめとした物流事業を手がける業界大手。1996年、第2次国際海上輸送物流システム「NEXT21」を稼動させた。NEXT21は、顧客情報管理や輸出入の手配といった基幹業務を処理する一方、会計、倉庫管理、さらに、日通航空貨物システムなどとも連携する同社の基幹システムだ。

 同社海運事業部、情報システムセンターの岡部金栄所長は、「顧客サービスへの向上、事務処理の効率化、ホストの統合、多言語対応、新サービス立ち上げといったニーズに対応するために、基幹システムの再構築が必要だった」と話す。多くのサブシステムを抱え、データ量も膨大であるため、現在、漸次移行していくアプローチでプロジェクトを進行中という。

日本通運の岡部氏

システム間連携の負担軽減が課題

 同氏は、システム再構築における課題の1つとして、「システム間および、多種類のデータベース間のデータ連携」を挙げる。ODBCやJDBCを利用した連携や、通信プログラムのロジックが各データベースの種類ごとに依存していること、さらに、システム変更やメンテナンスにもかなり労力がかかる。そのため、こうした負担を軽減するために、アプリケーション統合ツールの導入を検討した。

 ツールを選択する際の基準は、Oracle、SQL Server、DB2などのデータベースのうち、同社が既に利用しているすべてのデータベースと容易に接続し、連携できることが第一。また、早期に開発できること、ユーザーが使い方を簡単に学習できることなども基準に複数のEAIツールを検討した。その結果、2004年6月の後半にインターシステムズのEnsembleを、パイロットユーザーとして活用することを決めた。

 Ensemble採用のポイントは、サブシステム間でさまざまな形でデータ同期を行えること。また、新旧のシステムのデータを利用してビジネスプロセスを開発できることや、システム内で発生しているデータの流れを把握できることなども挙げられた。

 プロジェクトは7月後半に立ち上がり、3カ月たった10月現在で既にフェーズ1の開発が終了したという。

 具体的には、輸出入や通関、物流サービス、また、それぞれのデータベースを併せた既存システムの上に、Ensembleの「ユニバーサル統合プラットフォーム」を統合的に被せることで、全体をオブジェクト化し、各システム間の技術的な違いや複雑性を吸収する。

 さらに、これをEnsemble上の「共通インタフェース」で隠蔽した上で、新システムと連携させる。これが、新旧システムを連携させて再構築する同社における新たなシステムのアーキテクチャの仕組みになっている。

 言い換えると、既存のシステムにEnsembleを被せ、別のシステムと連携することで、新たな情報システムを構築していることになる。現在、アプリケーション開発手法のトレンドとして、既存資産を利用して新たなアプリケーションを構築する「コンポジット・アプリケーション」に注目が集まっている。同プロジェクトは、コンポジット・アプリケーションによるシステム構築の典型例になっていると言える。

 岡部氏は、Ensembleを導入したことのメリットについて、「複数のデータベースが1つのデータベースで稼動しているように見えるほど連携がスムーズ」と話す。また、開発環境がシンプルで負担も少なく、設計変更にも柔軟に対応できる点を挙げた。

今後の展開は?

 同氏は今後の展開について、海外拠点を結ぶこと、社内だけでなく顧客との情報共有やコミュニケーションを行えるようにすること、既存システムを最大限に利用しながら、新たなサービスを立ち上げることなどを挙げている。

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