OSDLでLinuxカーネルの主任メンテナーを務めるアンドリュー・モートン氏は、オープンソースカンファレンス「SDForum」で、Linuxカーネル2.7での開発方針、そしてオープンソースについて語った。
Open Source Development Labs(OSDL)でLinuxカーネルの主任メンテナーを務めるアンドリュー・モートン氏によると、Linuxバージョン2.7では、巨大なパッチセットを組み込むという方式から、プラットフォームが枝分かれすることによって変更を盛り込むという形に移行する見込みだという。
モートン氏は11月16日にカリフォルニア州サンタクララで開かれたオープンソースカンファレンス「SDForum」において、開発中のLinuxカーネル2.7のリリースに関して次のように語った。
「巨大なパッチセットを提供する一部の人々は、それをカーネルに含めてほしいと思うだろうというのは、ODSLでも予想している。しかしパッチを組み込む方式はなくなるだろう。Linux創始者のリーナス・トーバルズ氏がいずれ、バージョン2.7を分岐させることによって変更を盛り込むようにするからだ」
モートン氏はLinuxの要件およびプランニング作業について論じ、LinuxはPOSIXやIEEEなどの標準に従っていると指摘した。「どの機能にせよ、提供されるかされないかのどちらかしかないようになるだろう」と同氏は語る。Linuxの開発で追求している機能の1つとして、同氏はクラスタリングを挙げた。
モートン氏によると、OSDLではカーネルを書き直すことは全く考えていないという。その作業には15年もかかるからだ。「Linuxカーネルに対する最大の貢献者はRed HatとSUSEだ」と同氏は話す。IBM、Silicon Graphics、Hewlett-PackardおよびIntelの各社も貢献してきたという。
「OSDLはLinuxに高い基準を設定している」とモートン氏。OSDLのみるところでは、ほかのOSを推進する原動力はLinuxの水準に達していないという。
Solarisの技術をオープンソースベースで提供するというSun Microsystemsの計画について質問を受けたモートン氏は、「これは良い第一歩だが、Solarisがオープンソース化した後、同プラットフォームを中心としたコミュニティが発展する必要がある」と述べた。
「オープンソースSolarisについて云々するのは2年先のことだ。彼らはコミュニティを発展させ、それをいかに運営するかを学ぶ必要がある」(モートン氏)
成功したオープンソースプロジェクトは主として、30年来の技術であるレガシーインフラを提供することにフォーカスしてきた。オープンソースはこれまで、OS、カーネル、ランタイムライブラリ、ワードプロセッサなどのソフトウェアにフォーカスしてきたのだ、とモートン氏は指摘する。
「オープンソースの世界では、最先端のプロジェクトは例外的な存在だ。最先端の技術を開発するような人は、自分で会社を興して金持ちになろうとするだろう」とモートン氏は話す。
「Linuxカーネル自身も30年前の技術をベースとしている」(同氏)
モートン氏はさらに、LinuxコードをめぐってSCOがIBMを提訴している問題にも言及した。
「われわれは法制度を信じている。SCOの訴えには根拠がないため、すべて却下されると予想している」とモートン氏は話す。
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