ニュース
» 2004年12月03日 16時58分 公開

Interview:ブロードバンド・ユビキタス社会におけるアップルコンピュータと日本SGIの類似点 (2/2)

[西尾泰三,ITmedia]
前のページへ 1|2       

覇者の未来のシナリオが急速に実現されている

ITmedia お話を聞いていると、かつてのハードウェアベンダーから大きく変わった印象を受けます。

和泉 1997年に「覇者の未来」を著したデビット・モシュラは、その著書の中で、「覇者の未来は、システムやPC中心だったころから、ネットワーク中心へと変わり、さらにはコンテンツ中心の時代へとシフトする」と予見しています。モシュラはコンテンツ中心の時代を2020年あたりに据えていましたが、時代は急速にこの時代へ推移してます。

 わたしが日本IBMにいたころが、システム中心の時代です。その後、PCの時代が来ますが、当時、メインフレームをやっていたわたしの立場からすると、PCは子供の遊びだと思っていました。しかし、時代はモシュラの予見したとおり、PCの時代へと移りました。ネットワークの時代も同様です。

ITmedia 米SGIの会長兼CEOのロバート・ビショップ氏はかつて、日本SGIを「日本は米国とともにSGIの両輪だ」と称しました。米SGIがこうしたソリューションベンダー路線に変わることはありえるのでしょうか。

和泉 それはないでしょうね。米SGIはいわゆる先端テクノロジー、特にインターコネクトの分野に特化したベンダーとしてビジネスを展開する道を選んだのです。その結果、スーパーコンピュータTop500の2位にランクインするなどすばらしい結果を残していますが、それは必ずしも株価に反映しません。今のマーケットはテクノロジーベンダーを評価しないのです。

 日本SGIは、ソリューションベンダーとしてビジネスを展開します。そのため、ハードもSGIの製品にこだわることもありません。こうした姿勢がようやくユーザーにも認知され始め、それなら日本SGIのコンサルティングを受けようといった動きになってきました。

ITmedia 和泉さんが日本SGIの社長就任時に掲げた「Exciting Change」というスローガンをここで新たに再定義するとしたら、どういったスローガンになるのでしょう。

和泉 変わらず「Exciting Change」ですね。わたしが社長に就任したころはすぐにでも変化する必要があり、いわゆるテクノロジーベンダーから、顧客第一主義のソリューションベンダーへと変化し始めました。しかし、米SGIの100%子会社の時代は、ソリューション路線を進めたとしても、そこで売るハードは基本的にSGIのものになってしまいます。ハードのコモディティ化が進んでいますが、タイミングよくNECの出資を受けたことで、本当の意味での脱ハードウェア路線へと進化できたと思っています。このように、わたしたちは常に変化していかないと生き残ることはできません。

 わたしはiPodのヘビーユーザーなんですが、iPodがここまでブレイクしたのは、iTunesの存在が大きいと思います。iPodだけを見れば、特別なテクノロジーではないですが、iTunesとネットワークがそこに混じり合ったことで、「iTunes Music Store」のような魅力的なサービスが生まれたのです。

 ここで言いたいのは、Macを考案した人間がiPodを考案したのではないように、過去の成功体験を持っている人間の延長上に次の成功があるわけではないのです。つまり、求められているのは発想の転換なのです。アップルコンピュータを知らなくてもiPodは知っている人が多いように、日本SGIというブランドありきではなく、提供するサービスやソリューションを見てもらいたいと思います。ブロードバンド・ユビキタスソリューションを手がけているが、実はスーパーコンピュータなども手がけているといった認識を持ってもらえればいいと思っています。

SGIのDNAを生かした展開をするのが日本SGI

ITmedia 例えば日本SGIにはモニタリング・ソリューションとして「ViewRanger」がありますよね。こうした製品の認知度を上げるための施策などはありますか?

和泉 日本SGIがマーケティングで成功するとすれば、それは、先進的な企業がどんどん日本SGIの製品を使うという事例であり、実績であると思います。

 ViewRangerの話をすれば、工事・保守現場での各種危険作業を映像・音声の両方でリアルタイムに記録/伝送することで詳細な指示を与えるといった使い方も出てきています。これは身に付けるコンピュータ、つまり「ウエアラブルコンピュータ」と言えると思いますし、ブロードバンド・ユビキタス社会の一つの姿だと思います。


 日本SGIは12月15日、「日本SGI ブロードバンド・ユビキタス・ソリューション 2004」と題したセミナーを開催する。「本当のユビキタスの先進的な事例をユーザーに届け、そこから考察していただくことが重要。日本SGIは、世間がRFIDにフォーカスしている間に、さまざまなパートナーと協力する形で、事例を作る努力をしてきた。そうしたものをいち早くお届けできればと思って、少し急ではあるが、この時期にセミナーを開催した」と話す和泉氏。先進的な事例を見ながら、ユビキタス時代のソリューションに目を向けてみるのもよいだろう。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ

マーケット解説

- PR -