「あと5年でアナログ電話はほとんど消滅する」、米Cisco CTOジャンカルロ氏(2/2 ページ)

» 2004年12月10日 11時21分 公開
[鈴木淳也,ITmedia]
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 たとえばセキュリティの分野では、検疫VLAN(Quarantine VLAN)がその好例だ。従来までのネットワークの考え方であれば、ウイルスやワームなどの外敵の侵入からシステムを守るには、インターネットとの境界にファイアウォールを設置し、各クライアントにはウイルス対策を施すというのが一般的である。

 検疫VLANでは、あらかじめ各クライアントに導入されたエージェントとシステム内の認証サーバが最初に通信を行い、安全性が確認されるまで、いったんクライアントを検疫ネットワークと呼ばれる場所に隔離することで、セキュリティを確保する。これは、認証機構やスイッチ製品などが密に連携していなければ実現できない。

 「(IDSなども含め)こうした外敵防護の仕組みをネットワークそのものに導入し、セキュリティを確保することを、シスコでは『Self-Defending Network』と呼んでいる」(ジャンカルロ氏)

CRS-1とデータセンター

 Ciscoでは、サービス事業者側のネットワークでもIP NGNへの対応が進むと予想している。

 現状では、SSLやVPN、ファイアウォールなどのセキュリティ機能群やWebサーバなどの各種サービスを提供するサーバ群、そしてデータを保持するストレージ群は、別々の機器としてネットワーク上に存在している。このシステムを仮想化し、「仮想バックプレーン」を構築することで、全体のスケーラビリティやロードバランシングによる可用性の向上が実現できると説明する。

 各種サービスもアプリケーション層での進化を続け、XMLやWebサービスの発展が、パケットレベルからメッセージレベルのより深い層での制御を実現できるようになるという。

 このIP NGNを実現する重要な要素が、同社が現在力を入れている次世代コアルータの「CRS-1」である。従来機種の半分の筐体サイズで導入ハードルを下げたCRS-1の新バージョンも発表しており、同社では今後の導入促進に期待を寄せている。

 また現時点ですでに4社がCRS-1を導入している。カンファレンスでは、そのうちの1社であるYahoo! BBの取り組みが大々的に紹介された。Yahoo! BBは日本のブロードバンドアクセス分野で36%のシェアを誇っている。同社は新たに4台のCRS-1導入を決定しており、同製品で次世代ネットワークを構築していく計画だと発表している。

 「Yahoo! BBは世界でも最先端を走る企業だ。数年内にギガビットのアクセスサービスを各家庭に届ける予定だと発表している。悪いが、これは冗談ではない」と、ほら話だと笑いでどよめく会場の聴衆をけん制して、ジャンカルロ氏はこうコメントした。

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