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» 2004年12月31日 02時51分 公開

SME市場でISVパートナーの「ハブ」となる日本オラクル(2/2 ページ)

[西尾泰三,ITmedia]
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 オラクルがワールドワイドで展開している「ISVフォーラム」は、ISVパートナーに対する施策の一つと見ることができる。米国では2004年6月に、日本でも2004年12月には同フォーラムが開催されている。今回のISVフォーラムで強調されたのは、ISVパートナーとの戦略的協業、また、それに必要な日本オラクルの支援である。

 ISVパートナーとの戦略的協業では、日本オラクルは「ハブ」になりたいという。これには2つの施策がある。

 まずは、直接的な意味の販売機会の創出。ISVパートナーの中には販売代理店を探しているところも多い。案件を多くこなし、ノウハウを多く持ちながら、作り手であって売り手ではないために困っているケースがこれに当たり、自社の努力だけではなく、何らかの外販を求めているという状態だ。そんなとき、それを日本オラクルに伝えることで、日本オラクルが持つ販売チャネルの中から適したシステム・インテグレーターや販売代理店に日本オラクルが声をかけ、声をかけた先が合意した場合両者を引き合わせるといった施策を行うという。

 もう一つISV推進において日本オラクルが検討しているのは、パッケージ間のインテグレーションである。これは、ISV同士が一種のアライアンスを組んで、相互のパッケージの機能補完を自社以外で行うためのもの。前者が販売チャネルの創出を目的としたものに対し、こちらはISVパートナーの市場競争力を高めるための施策といえる。

 例えば、会計系のパッケージで強いISVは、経理、財務、総務系の顧客ベースを持っている。実際には会計系の背後には販売系もあれば製造系のシステムも存在しているわけで、それらのシステムとのインタフェースがISV同士のアライアンスにより迅速かつ確実に取れるのであれば、それは自社製品の付加価値となり、そのインストールベースに対し新たな販売機会を見いだせることになる。当然逆のケースについても同様で、この場合であれば販売系、製造系のISVパートナーが会計系で強いパートナーから付加価値を得るという構造になる。

 業界を深く把握し、インタフェースの文言、例えば単位の表現一つにしてもその業界に即したものを提供できるISVのニーズはSMEの分野では確実に存在する。そうした強みを持ったISV同士が日本オラクルをハブとして結びつき、そのシステム内にオラクル製品を使えば、結果としてスモールビジネス市場でのオラクルのマーケットシェアが上がることになる。

 いずれの施策にも共通しているのは、日本オラクルがハブとして機能する状態である。いわば、ISVパートナー同士の「お見合い」の世話人を日本オラクルが務めることになる。

「On Oracleという棚にパッケージが並んでいるだけでよしとするような状態ではなく、営業がつかんできた顧客のニーズをその棚から探して顧客に紹介するといったことを進めていきたい」(三澤氏)

積極的なノウハウの開示

 加えて、技術支援も大きなテーマである。「On Oracle」のサイトを見ても、いまだにOracle 8iで動作するパッケージを扱うベンダーも多い。それで顧客の要件を満たせる例が多いのも事実である点と、オラクル製品がバージョンによって価格が変わるわけではないため、それが販売価格に影響を与えない以上、マイグレーションを考える必要がない点がこうした状況を招いている。

 しかし、バージョンが上がれば、魅力的かつ実用的な機能が増えるのも事実である。そのため、日本オラクルとしては、アプリケーションサーバへのマイグレーション、10gへのアップグレード、Standard Editionでも利用可能となったRACへの対応、他のDBからのマイグレーションなどといった部分の積極的な対応をISVパートナーに望みたいところだが、それを望むには日本オラクルからの技術支援も欠かせないと考えている。

 当然のことであるが、同じ業界向けのパッケージでもISVが変われば内部のアルゴリズムは異なる。しかし、データベースとのインタフェースはほとんどがODBCかPLSQLを使っており、その意味では検証のポイントなどを絞ることはできる。日本オラクルでは、どのセグメントのどのISVが見ても分かる標準化されたドキュメントやサービスを提供するとともに、必要であればSEを現地に派遣して対応させるなど、積極的にノウハウを提供していくとしている。そうすることで、ISVパートナーは開発する範囲を狭めること、つまり自分たちのコアコンピタンスに集中できるようになる。

 こうした技術支援の一環として、2004年12月には日本オラクル本社内に「ISVソリューション検証センター」を開設、各種マイグレーション、アップグレードプログラムにおけるパッケージソリューションの検証環境として無償提供を開始している。

すべてはパートナーのために

 ISVフォーラムに参加したISVパートナーからは、パートナー同士のアライアンスに関して詳細を求める声もあった。それに対する答えとして、「古いアーキテクチャ同士で結びつけるのはあまり好ましくないと思っており、Oracle Database 10gに対応しているISV同士を結びつけたいというのは意識している。しかしそれ以外は各ISV製品の良しあしはお互いが判断することで、わたしたちが介入する問題ではないと思う」と正直な意見を返していた。また、「On Oracle」で検索可能なレポジトリを参照して、自身が組みたいと思うISVを指定してくれれば、それに対して仲介に動くことはできるとし、日本オラクルのバイアスが極力かからないようにするとしていた。

 実際にこれらの動きが本格化するのは、申し込み用のWebシステムが稼働し始める2005年の初頭になる見込みだ。そのため、スキームが完全ではないISVフォーラムの時点では、多少コンセプチャルな話だったようにも思われていたようだが、それでも真剣にパートナーとの連携を考え、Win-Winとなるスキームを提供しようとしている日本オラクルの姿勢に、ISVパートナーも正対しようとしているように見えた。

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