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» 2005年03月01日 18時08分 公開

XBRLによる財務管理で国際標準を目指す東京三菱銀行

Oracle 10g Worldで、ユーザー企業のセッションとして東京三菱銀行が「Oracle 10gによる財務情報の利用〜国際標準への挑戦―財務情報最前線」をテーマに行った

[怒賀新也,ITmedia]

 日本オラクルが2月24、25日に開催した「Oracle 10g World」で、ユーザー企業のセッションとして東京三菱銀行が「Oracle 10gによる財務情報の利用〜国際標準への挑戦―財務情報最前線」をテーマに行った。同行のIT事業部リサーチディレクター、柴田誠氏が、財務情報開示の国際標準として注目されているXBRLへの取り組みの最新状況や、金融業界での利用方法を紹介している。また、同行のOracle 10gによる実証実験についても盛り込まれた。

 XBRLはeXtensible Business Reporting Languageの略。XMLをベースにさまざまな企業の財務情報を作成し、インターネットなどのネットワークを通じて公開、分析するために標準化された言語と定義されている。企業が財務諸表を電子化し、開示するための標準フォーマットの言語だ。

 同言語を活用することにより、現状の会計基準を変更せずに、財務情報の流通にかかるコストを削減できる一方、正確な財務情報をすばやく活用できることがメリットになる。OracleやSAPをはじめ、ERPパッケージベンダ各社がXBRLへの対応を進めている。

銀行におけるXBRLの利用

 セッションの冒頭で柴田氏は、XBRLをめぐる最近の状況について説明した。それによると、国税庁による電子印刻の開始や、帝国データバンクによるXBRL式の財務諸表の提供、EUでは複数の国で財務管理にXBRLが利用されているという。銀行業務では、融資先のデータ分析や、信用保証協会とのデータ連携、シンジケーション(複数の投資家や金融機関が増資や借入金を分割して引き受けること)、自社の財務諸表データの提供などでの活用が想定されている。

 同氏が特に強調したのは融資業務での利用。現状では紙ベースでかつ、手作業であった作業であるため、これをXBRLで電子化することにより、業務全体を効率化できるという。融資決定や今後の融資方針の決定といった業務の電子化には従来からニーズがあり、XBRLによってようやく実現される運びとなった。

 米国のBank of Americaは、XBRLを活用したことにより、法人融資での顧客に対する融資評価にかかる期間が従来の11日から2日へと短縮したという。また、Wachovia銀行は、融資している顧客から入手する財務諸表をXBRL化している。

 柴田氏は、「XBRLによる財務データの作成が一般化することにより、データがさまざまなところで使われれ、業務の電子化が進む可能性がある」と指摘する。

10gを利用した技術認証

 東京三菱銀行は、実際の財務係数によるXBRLデータをOracleで管理、利用するシステムを構築した。具体的に導入した製品は、Oracle Database 10g、Oracle Application Server、Oracle Content Management SDK、Dicovererなどとなっている。

 同行自身が業務設計などを行う一方、開発、検証作業はダイヤモンドコンピュータ、XBRLデータの提供では帝国データバンクと協力した。有価証券報告書を公開している企業のデータを、3期分は蓄積しているという。

検証

 XBRLを活用するシステムを構築した後、各種の検証作業を行ったという。

 具体的には、有価証券報告書の実データをXBRL形式で蓄積し、融資業務に利用できることを確認した。また、Oracle 10gに大量のXBRLデータを格納できるか、データ分析プログラムが正常に稼動しているかなども検証された。また、「データベースにだれがアクセスしたか」の履歴を正常に蓄積できるかなど、アクセス監査による情報セキュリティ対応ついても確認したいう。

 さらに、財務分析データをDBに格納した後で、業務に使えるように加工できるかにも留意している。「XBRLデータは最初の段階で意味が与えられているので、それを引っ張り出して業務データとして使うほうが楽になるのではないか」と同氏は指摘した。

課題

 課題としては、財務諸表において百万単位で表示されるデータは、個別明細の合計と合計科目の数値が一致しなくなるため、XBRLで定義されている計算式が使えないことが挙げられている。

 さらに、より柔軟な財務分析を実現するためには、OLAP(online analytical processing)の利用が求められること、XBRLの体系では財務諸表の連結、単独の区分がないため、必要な場合はシステム側で工夫する必要があることなども指摘されている。

 加えて、取引先とのデータのやり取りを蓄積している場合、これらの既存データとXBRLのデータを一緒に使えればさらにメリットを追求できるという。

 「今後は、RDBとXBRLのデータを並存して利用できるかを検証したい。10gに期待する」(柴田氏)

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