「ソフトウェア市場で世界第5位以内に」、戦略語るEMC

ソフトウェア事業を拡大させているEMC。マーケティングで指揮を執るデイビット・マイラム氏は「ソフトウェア市場で5位までに入る企業になる」と語る。バックアップ市場では混乱するVeritasからシェアを奪う。

» 2005年03月18日 16時45分 公開
[堀哲也,ITmedia]

 「買収の混乱に乗じてVeritasのシェアを奪取する」――米EMC ソフトウェアグループのデイビット・マイラム上席副社長兼チーフマーケティングオフィサーは、プレスラウンドテーブルでこのように語る。ストレージ関連ソフトを大幅に強化しているEMC。ソフトウェア事業の規模は順調に拡大しているようだ。だが、バックアップ/リカバリソフト分野では、リーダーシップがとれていない。Symantecによる買収がほぼ確実となったVeritasからシェアを奪っていきたい考えだ。

デイビット・マイラム氏 「Veritasはバックアップベンダーでしかない。情報インフラとしては弱い。個人的にはポイントソリューションでしかないと思う」と話すマイラム氏

 EMCは現在、ILM(情報ライフサイクル管理)と呼ばれるコンセプトを掲げる。ストレージによって異なる価格差とサービスレベルを有効に活用して、増え続けるデータを最適なかたちで管理しようとするものだ。これを実現するには、多層のストレージシステムのほか、ビジネスプロセスに情報の流れを合致させ、管理できるソフトウェアの役割は欠かせない。

 ILMをインテリジェントに実現していくため、EMCは関連するソフトウェア企業の買収を加速させてきた。昨年6月にはこれら企業の製品とEMCのオープンソフトウェアを統合して扱うEMCソフトウェアグループを組織。ソフトウェアの売上は前年比で25%成長した。同社全体の売上も2000年には大半をハードウェアに頼ってきたが、現在ではソフトウェア・サービスが50%超を占めるようになっている。

 成長を背景に、マイラム氏は「ソフトウェア市場で第5位までに入る企業になる」と語る。目標達成のため、製品強化と買収を組み合わせアグレッシブな展開を図っていくという。例えば、ILM実現のためのコンポーネントとして、電子文書破棄の「デジタルシュレッダー」が強化できるだろうと一例を挙げてみせる。

 IDC調査によれば、2004年第4四半期の時点でEMCはレプリケーション、ストレージリソース管理の分野でシェア1位に立っている。しかし、バックアップ/リカバリ分野では出遅れた。「当然、この分野でもリーダーシップを奪っていくつもりでいる」(同氏)

 ターゲットに据えるのは、この分野でトップシェアを誇るVeritasだ。Veritasは昨年12月、Symentecに買収されることが発表され、多少なりともユーザー企業に混乱を与えている。その混乱を利用する。EMCは1月には「セーフスイッチ」キャンペーンを米国で展開、Veritasユーザーからの乗り換えを加速させよう活動を強めている。(編集部注:日本ではセーフスイッチキャンペーンは行われていない)

 「すでに60のインストールベースを切り替えた。セーフスイッチにより、この流れが加速していることは間違いない」(同氏)

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